一磨さんと付き合い始めて、数ヶ月が過ぎていた。

季節は夏へと移り変わり、降り注ぐ太陽の光が眩しい。

カーステレオからは、一磨さんが作詞をしたというWaveの新曲『Eternal sunshine』が流れている。

テレビ局へ向かう途中の車内。

わたしは澄み渡る青空を仰いだ。

”僕の瞳に見えるもの すべて君に捧げよう 今から始まる2人の恋”


「詩季ちゃん、お疲れ様!久しぶりだね」

歌番組の収録を終えて、Waveの楽屋を訪れたわたしを出迎えてくれたのは翔くんだった。

その温かい笑顔にわたしもつられて笑顔になる。

「今や国民的アイドルだもんね……詩季ちゃんは」

「えっ」

突然耳元でそんな声が聞こえて横を向くと、吐息がかかる距離に京介くんの顔があった。

「わっ!」

驚いて声を上げるわたしを、反対側から引き寄せる腕。

肩と腰に回された腕の感触に、トクン、トクンと鼓動が早まっていく。

「おい……京介」

怒りを押し殺したような低い声が、頭上から降りてくる。

「いや……ごめんって、一磨。じゃ、俺らは先に行ってるから……ごゆっくり」

慌てたように京介くんはそう言って楽屋を出て行ってしまう。

それに続いて翔くん、亮太くん、義人くんも、そそくさと部屋を後にする。

「ったく……アイツら……」

閉まった扉を見つめながら、ため息混じりにそうつぶやいた一磨さんは、ゆっくりと腕を緩めて。

フッと表情を和らげると、わたしの顔を覗き込んだ。

「……久しぶり」

「……うん」

こうしてふたりきりで会うのは、1ヶ月ぶりだっただろうか。

あれから、お互いに以前よりも仕事が忙しくなって。

ただでさえ人目を忍ぶお付き合いなのに、更に会えない日が続いていた。

それでも、毎日のメールや電話でのやり取りが、わたしの支えで。

想いが通じ合っているという幸せが、わたしの全てだった。

「せっかく認めてもらえたのに……なかなか会えなくて、ごめん」

ギュッとわたしを抱きしめながら、一磨さんは少し辛そうに言った。

「そんな……一磨さんのせいじゃ……」



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