“Silent night, holy night.

Son of God love's pure light.

Radiant beams from Thy holy face.

With dawn of redeeming grace.

Jesus Lord, at Thy birth.

Jesus Lord, at Thy birth.”


「詩季」

最後の音が空気を震わせて、闇に溶けた。

その場に佇んでいたわたしの側で、ふわりと空気が動き、耳元にささやきが落とされる。

グッと引き寄せられた腕の中に、息ができないほどの力で抱きしめられた。

「一磨」

言葉を交わさなくてもいい。

ただ温もりを感じていたい。

ふたりの鼓動が重なって。

ふたりの温もりが溶け合って。

ふたりの時間を刻み。

そしてまたふたりで声を紡いでいく。

そうして来年も、再来年も……。


そっとライブ会場を後にして、星の輝きの下に出る。

静かな夜の街角。

淡い月の光の中で、ふたつの影がひとつになる。

明日、目が覚めたら、最初にわたしの視界に映るもの。

それは彼の姿に違いない。

「メリークリスマス」

時計の針が0時を過ぎる前に、白い吐息と共に言葉がこぼれた。

「メリークリスマス」


――End.



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