3

「…ん…あっ」

雨に濡れて冷えた肌の上を、熱い大きな手がなぞっていく。

それと同時に、シャッと背中にあった暗幕が引かれて、窓からの薄い光を遮った。

トン、と背中が壁に促されて、布の感触を感じる。

「…詩季…」

鼓膜を刺激する、吐息混じりの甘い声。

それが敏感な肌をくすぐって、柔らかいものが胸元に触れたと思うと。

「っ…!一磨…っ」

チリッと走った痛みに、わたしは思わず彼の頭をかき抱いた。

もう頭の中は真っ白で。

熱い唇が、肩から鎖骨を伝い、胸元へ。

優しくわたしに触れる指先が、脇腹を撫で、太ももへと伸びていく。

体から力が抜け落ちて、壁にもたれて立つのが精一杯だった。

「んっ…あ…あぁっ」

熱く柔らかな感触が胸先に絡みついて。

同時に指先がわたしの一番弱い部分を探った。

今までにない強い電流が背中を駆け抜け、熱い息をつく。

「詩季…ごめん…今日は、抑えられそうにない…」

切ない声に、わたしの中で何かこらえていた糸が切れた気がした。

「抑えない、で…」

「…っ…!」

わたしの言葉に彼は一瞬、息を飲んで。

「…つらかったら、俺に捕まって」

わたしの片足を抱え上げて、自分の背中へ導くと。

ぐっと腰に回された腕が密着するように、体を引き寄せる。

「あっ…」

かすかに触れ合ったふたりの熱は、もう既に溶けそうに熱くて。

ビクンと体が揺れる。

「…詩季の体…熱くなってる」

「やっ…言わないで…っあ!」

高い声が漏れるのと同時に。

彼の熱がゆっくりとわたしの中へと入って。

わたしは思わず息を詰めた。



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