「…ん…あっ」
雨に濡れて冷えた肌の上を、熱い大きな手がなぞっていく。
それと同時に、シャッと背中にあった暗幕が引かれて、窓からの薄い光を遮った。
トン、と背中が壁に促されて、布の感触を感じる。
「…詩季…」
鼓膜を刺激する、吐息混じりの甘い声。
それが敏感な肌をくすぐって、柔らかいものが胸元に触れたと思うと。
「っ…!一磨…っ」
チリッと走った痛みに、わたしは思わず彼の頭をかき抱いた。
もう頭の中は真っ白で。
熱い唇が、肩から鎖骨を伝い、胸元へ。
優しくわたしに触れる指先が、脇腹を撫で、太ももへと伸びていく。
体から力が抜け落ちて、壁にもたれて立つのが精一杯だった。
「んっ…あ…あぁっ」
熱く柔らかな感触が胸先に絡みついて。
同時に指先がわたしの一番弱い部分を探った。
今までにない強い電流が背中を駆け抜け、熱い息をつく。
「詩季…ごめん…今日は、抑えられそうにない…」
切ない声に、わたしの中で何かこらえていた糸が切れた気がした。
「抑えない、で…」
「…っ…!」
わたしの言葉に彼は一瞬、息を飲んで。
「…つらかったら、俺に捕まって」
わたしの片足を抱え上げて、自分の背中へ導くと。
ぐっと腰に回された腕が密着するように、体を引き寄せる。
「あっ…」
かすかに触れ合ったふたりの熱は、もう既に溶けそうに熱くて。
ビクンと体が揺れる。
「…詩季の体…熱くなってる」
「やっ…言わないで…っあ!」
高い声が漏れるのと同時に。
彼の熱がゆっくりとわたしの中へと入って。
わたしは思わず息を詰めた。