「創一!」
深夜0時。
建設現場の近くまでを菊原さんに送って貰い、私はまっすぐに創一のいる場所へと向かった。
そこには巨大な骨組みと、それにつけられた電球がぶら下がっている。
最終点検をしていた創一は、私の姿に頭に被っていたヘルメットを取り、こちらに近づいてきた。
「早かったな」
短く言って、脱いだヘルメットを私の頭に被せる。
「これ、被ってろ」
「うん」
頭に乗せられたヘルメットに残る彼の温もりと、ポンポンとヘルメットを叩く手が心地よい。
「……じゃあ、そろそろ行きますかー?」
作業員の人の声が上から降ってくる。
「はい!お願いします!」
隣で創一はそう声を返した。
一瞬の間があって、目の前がパアッと光に包まれた。
「わあ……!」
そこには創一の設計した、見事なイルミネーションが浮かび上がっている。
繊細な光のラインが幾重にも重なり合って作り上げられた……
「……教会?」
それは、光の教会だった。
「ああ……完成したら、試点灯するって言うから……どうしてもお前に、一番に見せたかったんだよ」
「え……」
目の前に映し出された自分の作品に満足そうな穏やかな表情を浮かべて、彼は続ける。
「お前の顔、思い浮かべながら設計して……お前の弁当食いながら、建てたんだ」
「創一……」
前を見つめていた創一の顔がこちらに向けられ、穏やかな優しい目が私を捉える。
「ありがとな……弁当。うまかったぜ」
そっとこちらに伸ばされた腕が、そのままギュッと私を抱き寄せた。
「ううん。私こそ……ありがとう」
私の頭を抱きしめる彼の腕にギュッと掴まる。
「四葉……」
私の名前を呼んだ創一が、そのまま私にもたれ掛かってきた。
「えっ?ちょっと……そ、創一っ?」
戸惑いながらも何とか顔を上げると、唇が触れそうなほど近くにある創一の顔が真っ赤になり、ぐったりとしている。
ハッとしてそのおでこに手を当てると、驚くほど熱かった。
「創一!」