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「詩季…」

月明かりに浮かび上がる、白い肌。

その指先が、唇が、甘い吐息が。

触れたところ全てを熱くして。

もう何も考えられないほどに。

「愛しているよ…いつも…詩季のことを想っているから…」

「っ…ウィル…っ」

深くて熱い、波に飲み込まれるように。

言葉にならない想いを伝えたくて。

ただ、強く彼を抱きしめ返した。

「…詩季っ…」

甘く切ない、わたしを呼ぶ声が空気に溶けて。

明日、目が覚めたら。

彼にパンジーの花を一輪、プレゼントしよう。

『いつもあなたを想っています』

そう添えて。


―End.

2012.2.14



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