いつも流輝さんがわたしにそうしてくれるように。
そっと彼の髪に指を通して、優しく梳くように撫でると。
腰に回された腕に力が込められる。
「流輝さん…もう、寂しくないよ」
「…ああ…」
「…幸せになろうよ」
「ん…お前がいてくれたら…幸せになれる」
「…へへっ」
照れくさくなって、思わず笑ったわたしに。
おもむろに顔を上げた流輝さんがニヤリと笑って。
「お前、何にやけてるんだ」
「…だって。嬉しいんだもん」
「バカ…可愛いやつ…」
かすかに頬を赤らめて、そう言った彼の顔が近付いて。
「…んんっ…!?…ちょと、待っ…」
一気に深くなった口付けに、少し身をよじると、掴まれた両腕がシーツに押し付けられる。
「お前が欲しい。今すぐ…お前の温もりを感じたい…」
「んっ…はぁ…流輝さん…」
呼吸をも奪うくらいの深いキスと。
耳元で囁かれる言葉。
吐息。
散りばめられる、甘い痛み。
熱に浮かされるように、わたしは求められるままに、彼を求める。
「…親父のことは、やっぱり許せない。でも…詩季。お前がいてくれるから…俺は今、幸せだよ…」
うん。
そうだね。
『約束』するよ。
ずっとあなたの側にいるって。
―End.
2011.1.17