ふう、と吐き出す息が白い。
夜空に溶けて消えていくそれを追いかけて。
視線を上げるとそこには、オリオン座が見える。
「きれい…」
冬の夜空はどこか藍が深くて、空気が澄んでいて。
星がきれいに見える気がする。
一瞬立ち止まって、空を見上げて。
わたしは一歩、足を踏み出した。
喧騒を離れ、静かに闇に溶け込むように佇む一軒の洋館。
窓辺を照らすキャンドルの明かりが、ふわりと揺れている。
そっと髪を梳いていく、やわらかな風に乗って。
はらりと小さな白い綿毛が、髪に挿した赤い花びらの上に舞い降りた。
12月24日、クリスマスイブ。
「…いらっしゃい」
静かに開いた扉の向こう。
「雪がついてる…」
ふっと優しく微笑んで、わたしの髪に手を伸ばす。
あなたに、メリークリスマスを。
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