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「亮太、くん…?」

冷えた体を包む、腕の感触。

コート越しに伝わる、彼の胸の鼓動。

「プレゼントは…詩季ちゃんが、いい」

耳元でささやく低い声に、体中の熱が一気に駆け上がってくる。

外では絶対に聞くことがない、彼の一面。

「…ね?」

「…亮太く…」

覗き込むようにして、その柔らかな温もりに飲み込まれていく声。

月に照らされて伸びる、大きなモミの木の影に隠れて。

大好きな温もりに包まれる。

プレゼントは、わたしが貰っているみたい。

「…詩季ちゃんはずっと、俺のものだよ。だって…」


ねえ、詩季ちゃん、知ってる?

うん?

あの白い実、ヤドリギの下でキスをすると、どうなるか。

聞いたことないなぁ。どうなるの?

”結婚の約束”って意味があるんだって。

え…。

だから、詩季ちゃんはずっと、俺のものだから。

亮太くん…。

覚悟、してよね?


―End.

2012.11.23



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