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おばあちゃんが予約してくれた小さくて品のある教会でのささやかな結婚式かぞくと仲間に見守られて主人公と崇生が神父のまえにたった
「新郎、円山崇生、アナタハここにいる詩季さんんをやめるときも、健やかなるときも貧しき時も妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「誓います」
タキシード姿の凛々しい崇生が、はっきりとした口調で答えた
「新婦、詩季さん、アナタハここにいる崇生さんんをやめるときも、健やかなるときも貧しき時も妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「はい・・・誓います」
おばあちゃんが用意してくれた純白のドレスをまとった主人公も、静かにそう答えた
数日前、崇生の腕の中で聞いた「愛している」という言葉を思いだしながら・・・・
(タツキくん納得させるためにいったのかもしれないけど、それでもうれしかった・・・)
主人公に告白してきたタツキに、「○○だけは譲れない」といった崇生
その言葉を信じたい・・・・
「では、誓いのキスを・・・・」
神父のその言葉で、主人公たちはむかいあった。
そして、崇生がゆっくりと主人公のベールを持ち上げる・・・・
さっきリハーサルしたのに、緊張で足が震えてしまう
「・・・・・」
「・・・・・・」
ベールが外され、はっきりとした視界の中、崇生を見上げた。
崇生もまっすぐに主人公を見つめている
「・・・誓いのキスを」
見つめあったまま動かない主人公たちに。神父が催促するようにもう一度いった
「崇生さん!ファイト!」
勇太のその声に参列者の間から笑い声がおこった。
崇生は照れたように笑い・・・
「詩季ちゃん・・・」
「え・・・あ・・・・・」
笑い声にまぎれるように崇生は主人公の唇にチュっと軽くキスをした
(誓いのキス・・・しちゃった・・・・)
「・・・・・・・」
主人公も崇生も顔を真っ赤にしてうつむいてしまいそうになると・・・
小さな教会の中に、温かな拍手が沸き起こった

「おめでとう!崇生さん!」
「おめでとう!詩季ちゃん!」
「おめでとう、崇生、詩季」
「おめでと」
「いやぁ、めでたいね〜」
みんなの声がひびき、崇生と主人公は同時に皆の方を振り返った。
と、小さな花束を抱えた竜太郎が駆け寄ってきた
「タカオおじちゃん!おねえちゃん!おめでとう!」
主人公の花束を差し出しながら、祝福してくれる竜太郎
「竜太郎くん!ありがとう」
「竜、ありがとうな」
崇生は満面の笑みで竜太郎を抱きあげた。
その姿をおばあちゃんたちも目を潤ませながらみつめている
「本当によかったねぇ」
「ええ、こんな素敵な結婚式ができて、お義母さんのおかげです」
「そうだよ、母さんありがとうな」
「お礼をいうならあの二人にいいなさい。こんな幸せを私たちに届けてくれたんだから」
「・・・そうですね」
「あ〜、おかげで長生きできそうだよ」
「それは何よりだ」
そんな話をしながら、うれし涙をながすおばあちゃんたち。
その後では、崇生の弟たちも全員集合して笑顔をみせている。
タツキの笑顔だけは、少しぎこちなかったけど・・・・

挙式後、教会の庭へでてパーティが行われた
「いい天気!青い空と緑の芝に、まっ白なウエディングドレスがはえるね!」
「ありがとうございます、こんなお天気に恵まれて嬉しいです」
「お天道様も二人を祝福してるってわけだ」
「やけるな・・・・」
「日焼け止めぬる?」
「日差しじゃなくって・・・・」
「お前の気持ちはよくわかるぞ。漣!俺の嫉妬の熱は、この太陽の陽ざしより強い!」
「その発言自体が暑苦しいよ」
「ははは、その通りだな」
皆で笑っていると、おばあちゃんが、サンシェードのしたで手招きした
「崇生さん、おばあちゃんが呼んでます」
「ん?ああ」
崇生と連れだっておばあちゃんのもとへいった

「崇生、詩季さん、本当におめでとう」
おばあちゃんは改まっていってくれた
「ありがとう、ばあちゃん」
「ありがとうございます」
「結婚式って、やっぱりいいもんね」
うれしそうにニコニコしながらいうおばあちゃん
「何十年も前だけど、私とおじいさんの結婚式の日も、こんないいお天気だったよ」
「そうだったんですか」
懐かしそうに目を細めるおばあちゃんをほほえましく見ていたら・・・
「二人ともありがとうね。ウソをつきとおしてくれて・・・」
「え!?」
「ば、ばあちゃん!?」
「お義母さん!」
「な、な、なんでウソって・・・・!?」
主人公たちはもちろん、ご両親も目を丸くした
「おい・・今のきいたか!?」
「きいた・・・・・」
「あれは完全に・・・・」
「ばれてる・・・!!」
皆も驚きも隠せない様子であつまってきた
「なんとなくね途中で気づいちゃったのよ。あー私のために無理してるんだなって」
「おばあちゃん・・・・」
「でもね二人はとてもお似合いだし、お互い想いやっている姿がほほえましくてね」
おばあちゃんがニコニコしながら主人公たちをみると・・・・
「惹かれあってるのに遠慮しちゃって、「ウソ」にがんじがらめになっちゃって・・・・崇生はちょっと不器用なところもあるしね」
「・・・・・」
「だからついおせっかいしちゃった」
「ちょっと強引だったかしら?ふふふ」
「ふふふって・・・・」
おばあちゃんはすべておみとおしだった
主人公たちのウソだけじゃなくて、二人の微妙な関係までも・・・・
「二人の仲は、もうとっくにウソじゃなくなってるんでしょ?」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
おばあちゃんに言われ、主人公たちは顔を見合わせたものの、お互いどんな顔をしていいかわからない・・・・
「無駄な努力だったみたいね・・・」
そんな主人公たちをみて、タツキが呆れたように笑った。
でもその笑顔は、どこか温かい・・・・
「崇生は詩季さんが好きなんでしょ?詩季さんも崇生が好き・・・二人とも、自分の気持ちに素直になればいいのよ」
「ばあちゃん・・・・」
「・・・・・・・・・」
ニコニコしながら、有無を言わせない説得力の確信をついてくるおばあちゃん。
崇生も主人公も。
もうお手上げという感じだった
「ばあちゃんすげー!」
「すごすぎる・・・・」
「ばあちゃんの方が一枚上手だったようだな崇生!」
「お、おまえら・・・」
ここぞとばかりに主人公達をはやし立てるみんな
「ったく、不器用なもの同士ってのは、手がかかりますねおばあちゃん」
「ふふふ。本当だねぇ」
「くにさんまで、やめてくださいよ」
みんなに冷やかされて、崇生は顔を赤くして照れている
「っていうか、お前たちいつのまに・・・・」
「え・・あ、いや、まだ何もはじまってねーだろ」
佐伯の突っ込みに、崇生は照れながらもそんな答え方をした
(でも、これから少しずつでも近付けたらいいな・・・)
そう思っていたら、
「これからゆっくりな」
(え・・・・・・)
崇生は、みんなの目を盗んで、そっと耳元でささやいてくれた。
その優しい響きが頭の中でこだまする・・・
耳にかかった吐息のせいか、すごく胸がドキドキしてしまう
(そうだよね。これからゆっくり・・・ね・・・)
崇生の言葉がスーッと心に沁み込んでいく、同じ想いでいてくれたことがすごくうれしかった
と、その時・・・・
「おーいウエディングケーキの用意ができたぞ」
伯父さんがみんなに声をかけた
「やった!ケーキだ!」
「でかい・・・・」
「マジで大きいケーキだな・・・・」
「おい、ケーキ入刀だってさお前たちが主役だろ?」
「ああいこう詩季ちゃん」
崇生はすっと手を差し述べた。その手に、白いウエディングロープをした自分の手を静かにおくと、
「はい」
そう答えて、そっと崇生の手を握った
「・・・・・・」
何も言わずぎゅっと強く握り返してくる崇生
「・・・・・」
黙って見つめかえす
「詩季ちゃん、綺麗だよ」
「・・・崇生さん」
手を握りあったまま、お互いの瞳をみつめあった。
もう少しこのままでっておもったけど
「崇生、詩季みんなまってるぞ!」
「あ、ああすぐいく!」
ケーキのまえでみんながよんでいた
「早くこないと俺と勇太くんで入刀しちゃうぞ!」
「みたくない・・・」
「やっぱり祝福された新郎新婦でやらなきゃなー」
「全く・・あいつらの賑やかさにはかなわないな」
「ふふ、本当に」
「じゃあいこうか」
「はい!」
微笑みあった主人公たちは繋いだ手を離さずにみんながまつもとへと走った

「じゃあいい?」
「はい」
二人の手をかさね、一緒にナイフをもって先端だけそっとケーキにあてた。
その瞬間わっと拍手があがった
「はい、シャッターチャンスだぞ」
「いいなー二人で初めての共同作業ってやつですね!」
「やってみたい・・・・」
「ああ・・っこれは正直俺も憧れる・・・」
「な。なんかはずかしいですね」
「ああ、共同作業は二人だけでこっそりするもんだよな」
「崇生、今、エロイこと想像したな?」
「し、してない!」
真っ赤になって全力で否定する崇生の姿がちょっとかわいい
「さあ話しはそのくらいにして、みんなでケーキを食べましょう」
「これはね新郎新婦の幸せをみんなにおすそわけするという意味が込められているのよ」
「なるほど」
「さすがばあちゃんだな」
「博識・・・」
配られたケーキをみんなでワイワイ言いながら食べていると・・・
「詩季ちゃん・・・ちょっと・・・」
「え・・・・」
崇生は主人公を呼ぶと、そのまま黙って歩いて行ってしまった。
主人公は盛り上がる皆の輪から、そっと抜け出して崇生のあとをおった

崇生についていくと、さっき式をあげた礼拝にはいっていった
「崇生さん?」
「こっちにおいで」
言われるまま、宣誓台の前まで進むと・・・・
「詩季・・・・・・」
突然主人公の手をとると、崇生はその場に膝まずいた
「・・・・」
驚きと緊張で、主人公は何も言えずたちつくしてしまう
「詩季ちゃん、これから先も何があっても、俺のそばから離れないでほしい」
(え・・・・・・・・)
「ずっと・・・俺と一緒にいてください」
崇生は真剣な瞳で主人公をみつめ、落ち着いた声で静かに言ってくれた
「・・・崇生・・・さん」
涙があふれてきてしまい、うまく声にできない。
やっとのおもいで名前を口にすると、崇生はゆっくり立ち上がった
「詩季ちゃんが・・・好きだ・・・・」
まっすぐに主人公の目をみつめ、まっすぐな言葉で告白してくれた・・・・
崇生らしい飾り気のないでもとっても温かさが伝わるシンプルな言葉で・・・・
(崇生さんも・・・私と同じ気持ちでいてくれたんだ・・・・)
どう思われているのか、不安で仕方なかった。
結婚式をあげても、崇生の真意がなかなかきえなくて・・・・
でも今ようやくいってくれた。
ずっといってほしかったその言葉を・・・・
「・・・私も・・・好きです・・・・」
主人公も素直な気持ちを返した。
もうずっと前から感じていたこの想いを・・・・
「詩季ちゃん・・・・」
崇生はぎゅっと主人公を抱きしめてくれた。
強く、やさしく、温かな愛で、包みこうむように・・・・
(もう迷うことなく、この腕の温もりに身をゆだねていいんだよね・・・・)
ゆっくりと目を閉じた大好きな崇生の大きくて広い胸に頬を寄せる。
崇生の鼓動は力強くて少し速い・・・主人公の鼓動もそれに呼応するようにドンドン速くなっていく
「一緒に帰ろう、俺たちの家に・・・」
優しく言われ、そっと目を開けて見上げる
「はい・・・・」
小さくうなづずき、熱く甘くみつめあい、ゆっくりと近づいてくる崇生の顔・・・・熱い視線をそらさずに、まっすぐに主人公をみつめたままで・・・
再びそっと目を閉じた・・その直後、ふわりと柔らかな感触が主人公の唇を覆う
(崇生さん・・・)
心の中でその名を呼んでみる・・優しくて柔らかいキスをうけながら
さっきみんなの前でかわした誓いのキスとは違う、甘い大人のキス・・・照れながらチュッとした軽いキスもうれしかった
(でもこんな優しいキスはもっとうれしい・・・)
崇生の優しいキスにだんだんと熱を帯びてくる
(た、崇生さん・・・・)
息ができなくなるほど激しくなってきたその時・・・・
「あの二人どこにいったんだ?」
「!!」
「全く、主役の二人がいない結婚式なんてありえねーよな!」
勇太と大和の声が聞こえ、礼拝堂のドアが開いた
「詩季、こっち」
「え・・あっ・・・・」
さっと手をひかれ、二人で宣誓台のう裏に身を隠した
「もっとよって」
「は、はい」
ぐっと抱き寄せられてちいさな宣誓台の裏で密着状態・・・
「あ・・・・・」
ドレスのすそが出ているのに気付き、あわててひきよせる。
と同時にそっと唇に人差し指を当てられる。
「しー」っと声をださずに言う崇生「おーい崇生さーん!詩季ちゃーん!」
(お願い早くいなくなって・・・)
心の中で祈る
(だっていつまでもこのままじゃ心臓もたない・・・)
思い切り密着したまま、崇生の顔が目の前に・・・吐息がかかるほど接近してる
「ここにはいないみたいだな」
「だねえ・・・あーあ。俺もここで 詩季ちゃんと誓いのキスしたかったな」
「勇太、往生際がわるいぞ」
「そういう大和だって同じことを思ってたくせに」
「・・ま、みんな思ってたんじゃねーの?あいつ案外いい女だしな」
そんな話しをしながら二人は出て行った
(いい女ッてこの私が?)
なんだたくすぐったくて、ちょっと笑ってしまつお
「・・・・・・」
崇生と超至近距離で目があった
「はは、あせったな」
「ふふ・・・あせりましたね」
緊張がほぐれ隠れていた宣誓台の裏からでようとすると・・・・
「えっ・・・・」
崇生にぐっと手首をつかまれた
「・・まだ離れたくない」
「崇生さん」
「・・詩季は俺だけのものだから・・・なんてな」
「ふふ・・崇生さんってば」
そして甘いキスをかわす何度も何度も笑いあい、何度も何度もキスをした。
厳かな礼拝堂の宣誓台の裏で、優しい眼差しを送るマリア様に見守られて



2012/04/01 16:54


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