■■■■ Confession : scene.3
3
「ずっと…俺の傍にいてください」
耳元で響いた彼の低い声。
祈るように紡がれた彼の告白に、
―――…心が震えた。
ロックの背に回した指が、無意識に彼のシャツをきゅっと握り締める。
それに気づいたロックは、少し身体を離して彼女の顔を覗き込み、その表情を見て小さく笑った。
「…顔、赤い。林檎みたい」
「だ、だって…―――、」
いきなりそんな事言うから…、
と、彼女は消え入るような声で呟いて、赤い顔を見られないように俯いた。
彼女の瞳に浮かぶ涙。
それはどんな意味を篭めての涙なのだろう。
「セリス」
彼女の頬に触れ、顔を上げさせる。
目の端に浮かんでいた涙は、顔を上げたと同時に頬を伝って零れ落ちた。
それを拭ってやりながら、ロックは「返事は?」と問う。
するとセリスは少し躊躇ったあと、先程の子供のような言い方ではなく掠れた声で、ようやく少し恥じらいながら返事を口にした。
「…傍に…、ずっとあなたの傍にいさせてください…」
その言葉を聞いたロックは、この上ないほど優しく微笑んで。
セリスはその表情に、甘く色づいた華が舞うような幸せを感じた。
今、この瞬間にさえ…私はあなたに恋してる。
あなたの欲している確かな事実は、私のこの胸に宿るあなたへの想い。
あなたには見えないものだけれど。
私にしかわからないものだけれど。
それならばせめて伝えたい。
あなたに恋するこの気持ちは、あなたのものだから…。
「ロック…。今も…これからもずっと…―――あなたが好きよ」
セリスはロックのシャツを引き、彼に口づけた。
ロックが驚いている間に終わってしまうほどの短いキスだったが、ロックはセリスを見つめた後、満足気に笑った。
セリスもそれを見てふふっと笑った。
優しい空気に包まれて、二人は微笑み合う。
「俺も…。ずっとずっと…お前の事だけ愛してる」
お互いに告白をして、ようやく本当の意味で想いを通じ合えた二人。
寧日の午後、紺碧の空と太陽が見守る中で、二人は再び交わした。
誓いのくちづけを―――…。
* * *
一方その頃…。
「セリスは…一体何やってるの…!?」
失踪中のロックと、それを探しに行ったセリスがここを去ってもう1時間が経過しようとしていた。
目の前には食事当番のティナが丹精込めてせっかく作ったカレー。
それがもうすっかり冷え切っていた。
「もう…!二人ともご飯抜きだからねぇ〜〜〜!!!」
ティナの怒りの叫びが辺りに轟いた。
数分後、揃って仲良く戻って来た二人がティナの説教を昏々と聞く羽目になったのは
言うまでもない。。。
fin.
(2008.08.17)