■■■■ Confession : scene.3
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「…ねぇ」
「ん?」
今度はセリスがロックをじっと見つめて、告げた。
「首輪なんてつけなくたって…しるしなんてなくたって…、私はずっと…」
「え……」
「例えあなたが離れろって言ったって、ず〜っと離れないでくっついてやるんだからねっ」
「!!」
ともすれば、それはこの上なく甘い愛の告白。
セリスは照れ隠しからか、その言葉をいたずらっ子のような口調で赤い舌を出して告げ、そのあと柔らかく微笑んだ。
ロックもセリスの言葉に顔を赤くし、その子供のような行動で驚き、言葉と行動とのちぐはぐさに思わず笑みが零れる。
「じゃあ…」
ロックはおもむろにセリスの手を取った。
手と手が触れ合い、指と指が絡まる。
誓いの指輪はないけれど…、
そう前置きして、ロックはセリスに尋ねた。
「今ここで誓ってくれるか?お前はこれからもずっと、俺のものだと…」
セリスは一瞬驚いたように目を瞬かせたが、やがてにこやかに微笑んで頷いた。
ロックはその反応に心踊り…そうになったのだが。
「それは、誓いの指輪と誓いのキスがないと誓えないわ」
「――――!?」
セリスのその表情と全く矛盾した言葉が、ロックの胸をぐさりと突き刺した。
先程までの仕返しとばかりに冗談のつもりで言ったセリスだったが、見てわかる程のロックの落胆ぶりに、セリスもそこまで落ち込むとは思っていなかったのだろう、慌てた様子で否定して何度も殊勝に謝った。
その仕草に、ロックは思わず苦笑する。
強気に向かってきても、やっぱりどこか弱気な彼女。
そんなギャップにすら愛を感じてしまう自分を、彼女はどう思うだろう。
もう何もかも、彼女のすべてが愛しくてしょうがない。
ロックは徐々に微笑みを深くしていき、セリスはその彼の変貌ぶりに訝しむ。
するとロックは再び、「誓いの指輪はないけれど…、」と前置きして、やおら自分の首元から何かを取り外し、それをセリスの首に付けた。
セリスはそっとそれに触ってみる。
首元には、ロックが常に身につけていたシンプルなシルバーのネックレスが着けられていた。
「これって…」
「ん?そりゃもちろん、誓いの…………首輪??」
「ええ!?」
「うそうそ。冗談だよ。今はそんなもんしか贈れねぇけど…」
そう言って、急に真摯な眼差しで見つめてくるロック。
途端に冗談めいた態度が一掃され、瞬く間に緊張した空気が漂う。
セリスはそんな彼の突然の変わりように戸惑い、身体にも緊張が走る。
いつになく真剣なその眼差しに、セリスは胸が自分の意思とは関係なく高鳴ってしまうのを止められない。
ロックはそんなセリスを引き寄せて、そのまま首筋に顔を埋めるように抱きしめた。
そして彼女の耳元で告げた。