LOVE OR LUST

2


 規則正しい寝息を立てて、隣で眠る愛しい彼女を見た。
 涙の痕が、うっすら頬に残っている。
 無理に何度も身体を繋がれた彼女は、耐え切れずに意識を手放してしまった。



 いつも、そうだった。



 彼女を見るとそれだけで抑えが利かなくなって、触れれば壊してしまうと判っていながらも止められない。
 そうして抱いた後に襲うのは言いようのない

 虚無感、罪悪感、そして―――自分への失望。






「―――…セリス」



 たった一言、名前を呼ぶだけで胸が疼く。
 こんなにも、彼女に囚われてる。
 長い金の髪を梳き、ひと房手にとってそれに口づけ、目を伏せた。



「…ごめん…」



 何度謝っても足りない。
 どれだけ謝ったって許されはしない。
 俺のしていることは彼女を傷つけることばかりだ。
 守りたいと思っているのに、どうして壊してしまおうとするのだろう。

 

(悲しむ顔なんて見たくないのに…)



 けれど、そうさせているのは自分。
 傷つけて、怖がらせて、泣かせているのはこの俺自身。


 その事実に目を背けたくて、心の蟠りを少しでも軽くしたくて、卑怯な俺は眠る彼女に心の中で懺悔する。






 傷つけてごめん


 辛い思いをさせてごめん


 望まない言葉を言わせてごめん







 こんな俺が、お前を好きになってごめん…





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