Regret...

4-7



「セリスは…今、幸せか?」



 唐突にそう問われた。




 幸せ?

 そんな訳はない。
 あなたのいない日々なんて、幸せなはずがない。
 …などとは言えるはずもなく、私は苦笑して



「ええ。過去に自分がした事は到底消し去る事はできないけれど…
でも今は自分が望んだように復興の手伝いができて、自分の手によって緑が生き返っていく所を見るのが何より嬉しい。
だからきっと…幸せなんだと思う」



 少し視線を外して返事をした。
 そして誤魔化すように同じ質問を投げ返す。



「あなたは…ロックは幸せ?」
「……俺は……」



 返事はなく、言葉を詰まらせるロックの表情は何だか少し淋しげで。
 彼にはそんな表情をする必要などないはずなのに。
 どうして?
 かといって、満面の笑みで幸せだと言われても私としては複雑なんだけれど。



「ユゥイさんて…いい人ね」



 不意に、自分の口をついて出た言葉に自分で驚いた。
 私は何を思ってそんな事を口にだしたのだろう。
 それを聞いたロックは、さっきの淋しげな表情は何処へやら、ふっと微笑み、無邪気な表情を浮かべた。



「そうだな。アイツ見た目はあんなだけど、結構しっかりしてて頼りになるんだ。
知識も豊富で、何て言うのかな?俺にないものを持ってるというか…
とにかくアイツといると、今まで自分に見えてなかった世界が広がっていく気がするんだ。
アイツに巡り逢えて本当によかったと思ってる」
「そう…」



 彼のその表情はとても自然な微笑みで。
 その微笑みが、私の心に影を落とす。
 彼女の事となると急に饒舌になるロックを見て、チクリと胸が痛んだ。



 よっぽど好きなんだ…彼女の事…。



 当たり前だ。
 だからこそ一緒にいるのだから。




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