■■■■ Regret...
4-6
月は相変わらず同じ輝きで、私達を照らす。
そして相変わらず、私にはその輝きが禍々しいものにしか見えない。
ロックは先程ユゥイが立っていた同じ場所に立ち、
「…綺麗な月だな」
…ユゥイと同じ台詞を呟いた。
この月を見れば、誰もがきっとそう呟くのかもしれない。
けれど私にはそうは思えなかった。
同じ場所で、同じ台詞を口にする二人。
それを見て、どうしても嫉妬の念が沸き上がるのを止められない。
やはり二人には通じるものがあるのだろうかと、苛立つ気持ちを止められない。
(…もう…いい加減にしなさいよ、私…)
自分を戒め、溜息をひとつついた後、月を見上げた。
彼は月を見上げ、私も同じものを見ながら少しの沈黙の後、
「この2年間、どうしてた?」
と尋ねられた。
「私は…マランダでずっと復興の手伝いをしていたわ。」
「…大変だったか?」
「ええ。街は壊滅的なダメージを負っていたけれど、この2年で見違える程立派な街になったわ。
エドガーや、色んな人の支援のおかげで」
「エドガーやマッシュとはよく会ってたのか?」
「よく…って程ではないけれど、マッシュは物資を運んでくれてたから度々会っていたわ。
エドガーと会ったのは1年振りくらい」
「マランダではいろんな人に出会ったんだろうな」
「そうね。色んな人に助けてもらいながらこれまでやってきたわ。
私の過去の行いを知ってる人もいたけれど、それでも良くしてもらったの」
「そっか…」
当たり障りのない会話。
気まずい雰囲気になる事もなく、思ったより普通に会話出来ている自分に驚く。
けれど、内心安堵して胸を撫で下ろしながらも、ぽっかり開いた心の隙間に冷たい風が吹き抜けていくような虚しさが胸に押し寄せる。
…本当はこんな話がしたい訳じゃないのに。
月から視線を外したロックは、少し目を伏せた後、私に向き直った。
視線を感じ、私も彼を見る。
冷たい風を頬に感じていたが、彼にじっと見つめられ、その冷たさも忘れてしまうくらい頬が熱くなってくる。