Regret...

2-4



「…ロック…」



 私の心に、突然嵐が吹き荒れた。
 周りの喧騒が嘘のように何も聞こえなくなる。
 聞こえるのは、視界に入るのは、ロックと…その隣の女性だけだ。



(どうして…ロックがここにいるの…?)



 今自分が置かれている状況がわからない。
 ただ、ロックが驚いた表情で私を見つめている事だけはわかる。
 きっと私も同じ表情だろう。
 けれど私は見逃さなかった。

 彼の驚きの表情の中に、ほんの一瞬戸惑いの色が射した事を…。



「ロック、知り合い?」



 見つめ合って微動だにしない二人を見て、ユゥイと呼ばれたその人はロックにそう問うた。
 彼もその声で我に返り、「ああ…」と返事をしたあと



「昔の…馴染みかな」



 ソツのない答えをして、ロックは私を紹介した。
 そしてロックは隣に佇むその人を私に紹介する。



「コイツはユゥイ。俺の連れだよ」
「―――――!!」



 私は思わず目を見開いた。
 声を上げそうになり、必死にそれを飲み込む。





 連れ…?って事は…


 彼女?


 もしくは…




 ……………




 色んな想いが頭を渦巻く。
 けれど聞けなかった。
 真実を知るのが怖くて。

 それでも、ロックの隣に女性がいるのは紛れも無い事実だから。



「そう…なんだ…」



 私はなるべく平然を装って、笑顔で返事を返す。
 …けれど、作り笑顔だとすぐにバレてしまいそうなその表情はきっと不自然だったに違いない。



「それよりも…久しぶりだな。2年振り、くらいか」



 ロックは懐かしさを含んだ表情で私に言った。



「そうね…ほんと久しぶり…」



 私はそんな彼の顔が見れなくて、口許に笑みは残したものの思わず目を伏せてしまう。



 ダメだ…目を逸らしたら不自然に思われる…



 頭では判っていても、身体がそれを拒否していた。
 顔を上げれば隣にいる女性もろとも見る事になる。
 二人並んで立っている姿を見る事すらもう辛かった。
 



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