一、つくられた日
「なんて不気味な……」
「人間でも、ポケモンでもないなんて……」
「だが、戦闘力は申し分ないはずだ」
「我が儘は言っていられない、早く作戦に参加させよう」
「もし暴走したらどうするんだ!」
「ならどうすればいいというんだ!」
引き締まったその身体に一切の衣服を纏わず、広く冷たい部屋の床に座り込んだ青年。
青年を囲むように話し合う科学者たち。
足元に散らばった柔らかい何かの破片。
口の中に入り込んでいた生ぬるい水。
足元に散らばった柔らかい何かの破片は先ほどまで自らを包んでいた卵の殻、口の中に入り込んでいた生ぬるい水は先ほどまで自らを包んでいたそれの中に満たされていた羊水なのだと、誰に言われるでもなく青年は思い出す。
青年は次いで、光のない目を話し合う科学者たちに向けた。
青年は自分をほったらかしに話し合う科学者の一人に手を伸ばす。
その手が科学者の足に触れた途端、虐殺は完了した。
「え、」
「あ?」
「なっ……」
崩れ落ちる一人の科学者。
最早死体となったそれが崩れ落ちるのを呆然と見つめる他の科学者。
一拍おいて、悲鳴があがった。
「誰か動ける者は!?戦闘部隊を呼んできなさい!」
認められることなく三十と幾つかの歳を重ねた女科学者は、二十年前からの相棒の入ったモンスターボールを握り締め、叫んだ。
「誰でも良い、ボスに連絡を!」
天才とともに産まれ自らを軽んじられたまま二十年と幾つかの歳を重ねた若い科学者は、ずっとお互いを慰めあっていた相棒の入ったモンスターボールを握り締め、叫んだ。
「行きなさい、ガブリアス!」
「出てこい、ラッキー!」
座り込んだ床に両手をついて、よろけながら青年は立ち上がる。
そして、ゆっくりと足を踏み出した────

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