01
『…何ここ。』
「オークション会場だ。」
『何でまた。』
「面白ェ奴がいたら買って行こうかと思ってな。」
すると目の前を二人の天竜人が通っていく。
やはりお高い貴族の娯楽というのはどこの世界も悪趣味と決まっているのだろうか。
「…欲をかいた権力者の純心に比べたら、世の悪党の方がいくらか人道的だ。クズが世界を支配するからクズが生まれる、こんな事もわからねェか。おれ達は悪気がある分かわいいもんだなキラー。」
「違いない。」
なかなか道理のあることを言うものだと思う。
純粋な幼子の行動に時たま恐怖を感じるのと同じようなもので、純粋さというのは恐ろしい。
「キッドの頭、アレを…。」
「ん?見た顔だな。"北の海"の2億の賞金首、トラファルガー・ローだ…ずいぶん悪ィ噂を聞いてる。」
『へー、っていうか皆おそろいのつなぎってずいぶん仲よしだ。』
「……行儀も悪ィな…。」
こちらに中指をたてて挑発ポーズなトラファルガー。
瞬き一つするとパチリ、と視線が交わってしまい、居たたまれなくてなんとなく視線を反らした。
<<それではみなさん、長らくお待たせ致しました!まもなく、毎月恒例1番GR人間大オークションを開催致したいと思います!司会は勿論この人!
歩くスーパーバザールこと、Mr.〜ァッディスコ!>>
さて、テンション高く始まったオークションだが、人間のオークションというのは見ていてヘドが出そうになる。
「頭…ありゃ確か"麦わらの一味"の…、」
「!」
『あ。俺行くわ。』
「麦わらの一味だったのか?」
『まぁ一応。縁があったらまた会えるだろうね。』
じゃあと手を振ってから彼らの元へ行く。
後ろからコックの肩を叩けばひどく驚かれた。
「お前何でここにいんだよ!」
『まぁいろいろありまして。そっちはどうしたの。』
「ケイミーがさらわれちゃってオークションに出されてんのよ!」
『………。』
うちの限度額二億、果たして足りるだろうか。
普通のオークションなら確実とも思えるが今回は訳が違う、天竜人がいる。彼らの限度額は多分はるかに上回ることだろう、そうこう考えていたらいつの間にか壇上の男が舌噛んでいた。
ま、絶望の末にってやつ。よくあるらしい。
問題はその後に現れたシルエットである、あれはもう確実にそうだ。
<<ご覧下さいこのシルエット!探し求めておられる方も多いハズ!多くは語りません、その目で見て頂きましょう!
魚人島からやって来た!"人魚"のォケイミー!>>
さっきの惨劇も吹き飛ばすような、会場が興奮と歓喜に包まれる。
そりゃ皆嬉しいんだろうね、そしていざ、競りが始まった途端、
「5億で買うえ〜!5億ベリィ〜!!」
「…!!」
『(……、)』
…さて、どうするか。
絶望視された計画
(さて残された道は、)
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