01
『う、おぇ、』
耳鳴り、吐き気、めまいが同時に襲ってきて海に胃液を吐き出す。
ここ10日の内片手で収まる日数程度とはいえ、汚くしてごめんなさいという申し訳なさはすぐに次の吐き気で打ち消された。
未だにまだ自殺衝動は収まらず、こうして夜な夜な身の危険を感じて飛び起きては吐き気や気持ち悪さと戦う。次の日起きれるのか、運良く気づいて起きるが、次の日いつか死んでしまうのではと思わずにはいられない。
よくよく考えたらよくまあこう連日死の淵に立ちながら平気な顔して生きていけるものだと我ながら感心できてしまうが、こんな冗談考えてる場合じゃないと、胃が痙攣しているのを感じながらうずくまる。
冷や汗が止まらない。水飲みたい。
ふらつく体を動かしてキッチンに行けば、ぼんやりと灯りがついていた。
今夜の見張りはゾロだったか、冷蔵庫から自分の供にする酒をごそごそ漁る姿を見てぼんやりと思い出す。
「寝れねえのか。」
『眠気がなかなか来てくれないもんでね。』
グラスに水を注ぎうがいをしてから一気に煽るようにして飲む。汗がおさまった。
でこに張り付いた前髪を払っているとからかうような笑みを浮かべるゾロ。
『…何。』
「怖い夢でも見て眠れねえってか?」
『……。』
「?」
『…まあ、そんなとこ。』
面をくらったというのはこういうことか。
ゾロは思わず手に掴んでいた酒瓶を落としそうになった。てっきり彼のことなら、子供扱いするなと不機嫌になる様子が予想されていたのだが、そうではなかった。
あろうことかそれを認めたのだ。それが驚かずにはいられない。
冗談ではないが、言うなれば明日は槍でも降るのかと言いたくなるような驚きである。
そんな固まる自分を置いて嘉識はひらひらと手を振っておやすみと寝室に帰って行った。
心理ギロチン
(首を切られそう)
116/224 ← → back