#hrak夢版真剣創作60分一本勝負様より
お題「一目惚れ」





突然だが考えて欲しい。
帰り道、夕飯の材料を片手に帰っていたその時突然隕石みたいな何かが目の前に落下して、巻き起こったとんでもない爆風に気付いたら一人上空へ放り投げられた時の気持ちを。

私の個性は糸を一発で針に通せる、という個性だ。無論空の上で使ったって何の得にもなりゃしない。ひゅう、と落ちていく感覚の中必死に考えた。レジ袋、そうだ。あれに空気を入れたらもしかしたらゆっくり落ちれるかもしれない。(勿論そんな事は無い)だが手元にレジ袋の感覚がなくて、まさか、と思い下へと視線を向けた。

後方、遥か彼方に地面。先程買ったばかりのレジ袋が米粒みたいに小さく見える。いやどれだけ高いところにいるのさ。死という文字が一斉に頭の中を駆け巡ってそっと目を閉じた。

無理だと思うけど、痛くありませんように。

両手を握り合わせてそう願った瞬間、体がふわっと浮かぶ感覚がした。誰かに受け止められて、いや嘘、そんなハズない。だってここは空中で、人が何かを受け止められる訳が __

"おっと、我ながらナイスキャッチ"と頭上から聞こえた男の人の声に。誰? と、そっと目を開けた。

「まだ死ぬのは早いですよ。」
やけにゆっくりとした口調のその人は、猛禽類みたいな目を細めてそう告げた。紅葉みたいな色の羽がふわふわと漂っていて、神様なのかな と無意識に思ってしまった。かち、と目が合った瞬間に。心臓がびく、と縮こまるような気がして。返事をしようにも、え、とか あ、とか言葉にならない声が零れ落ちるだけで。

それを見た彼は、はは、と軽く笑うと。
「あ、惚れちゃいました?」なんて、告げるもんだから。更に驚いて言葉を失った。

「えっなんで分かったんですか」

「え」

「も、もしかしてエスパーさんですか」

「え」

先程の人とは変わったみたいに、今度は彼の方が固まってしまった。きっとこの羽は個性だろうし、エスパーともなると個性の二個持ちだなんてすごい。そう思っていると、下の方から「ホークスさん!何してるんですか!早く!次の仕事まだまだありますよ!」とこっちに向かって大声で叫ぶ男の人の声が聞こえた。ホークス、それがこの人の名前なのかなと思っていると。彼は、" あ、やべ "と呟いてから。すーはー… とひとつ、深呼吸をすると。

「すみません、少し掴まってて下さいね」
"降りたら話聞きますんで"と告げられて、その目がすごく真剣だったからドキッとしてしまった。す、すごい。ドラマのワンシーンみたい。「は、はい」と震える声でそっと彼に掴めば。私の予想を遥か上回る凄い速さで下まで急降下していった。ジェットコースター並の、いやそれ以上の速さに、イヤアアアアアアア!!!!と この世の終わりみたいな叫び声を轟かせたのは、言うまでもない。






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