私達の共通点


暑さがようやく和らいできた秋の始めの日のこと。

自分の部屋で読書をしていた私は、ふと紅茶が飲みたくなって一階のキッチンダイニングへ行こうとした。するとそこには、我が家のデビル達が集まって話し込んでいた。ざっと数えて20人くらい。広いダイニングに思い思いの格好で座っている。

珍しいこともあるものだな。

いつもはそれぞれ好き勝手やってる奴等が、これだけの人数集まって熱心に話し込んでいる。私が邪魔しないように静かに紅茶を淹れていると、それに気付いたアミーが声をかけてきた。

「シルファ、大事な話がある。お前も加われ。」

「え…?」

アミーの言葉でダイニングにいたデビル達の視線が一斉に私に向けられた。真剣を通り越して深刻な眼差し。思わず後ずさってしまった。これはもうイヤな予感しかしない。恐らく、私に何か不満や説教ごとがあるのだろう。心当たりがありすぎる。

3日前、ベヒーモスが大切にとっておいたマンドラゴラチップスを勝手に食べてしまった。2日前、ニスロクさんの羽があんまり綺麗だったので、こっそり一本失敬して羽ペンにしてしまった。昨日、廊下に落ちていた本を拾ってみたら、マルコシアスの日記で思わず読みふけってしまった。

いや、でも一番の心当たりは…

「いやなんかもう本当にごめんなさいバトルには全然セットしてあげられてないけど君達がいてくれて本当に助かってるんだよこれからは極力君達のこともセットするようにするからどうかソウルストーンにひきこもつてボイコットするのだけはやめてくださいマジでお願いしま…」

「待って待って待って!ジブンたちまだ何にも言ってないっスよ!」

「…え?」

オリアスに言われて周りを見渡すとポカンとした顔達と目が合った。…え?違ったの?私が余りにもバトルに連れて行くデビルを贔屓するからボイコットしてやるぞ的な脅迫じゃないの?

アミーがため息をつく。

「何を勘違いしたのかは大体想像つくが、恐らくそれよりももっと深刻な問題があってな。お前にも深く関わることだ。」

「それはそれで不安だよ!」

「ねぇ、シルファ。君を含めてここにいる僕ら全員の共通点ってなんだと思う?」

「私を…含めて……??」

バルバトスに聞かれて私は考え込む。

アミー、バルバトス、オリアス、ウァラク、フラウロス、マスティマ、グラシャ、ベヒーモス…その他にも10人くらいと私…。

「ごめん、さっぱりわかんない」

「えぇー、簡単なことじゃん?僕ら皆男でしょ?」

「カテゴリーがザックリしすぎて分からなかったよ!」

改めてダイニングを見渡す。私と約20人の男デビル。確かに男しかいない。なんだかむさくるしい。こうして『第一回男だらけの白蓮荘会議』が始まったのだった。

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