好きだ
好きだ
好きだ


『い、痛いっ…シズ』




あー…またやっちまった。





『ごめん!シズ。そんなつもりじゃ…!』

「いや、俺がわりぃんだ。」


俺は好きな女ひとつ抱きしめてやれない。
彼女を想えば想うほど強くなるこの思いと力。

今ほどこの力を憎く思ったことはない。


くそっくそっ…くそっ!



『…ず、シズ……シズ!!!』

「……あっ、わりぃ。呼んだか?」

『もー、さっきから何回も呼んでたよ!なのにシズずっと難しい顔してるし。それに、いつも以上に眉間にしわ寄ってたよ。』

俺は現に今、彼女を強く抱きしめてやることもできずに触れるように肩を抱いているだけだ。
そんな中、俺の腕のなかで心配そうに見上げてくる彼女。


あー何やってんだ俺。
こいつにこんな顔させたいわけじゃないのに。


「俺は…お前をこの力で守ることはできても、触れることはできない。お前を思いっきり抱きしめてやりてぇのにそれさえもできない。こんなにも…こんなにもお前を想ってるのに。……自分が情けねぇ。」

言い切った瞬間、今にも泣き出しそうな彼女が目に写った。
てか、何か俺まで視界が潤んできやがった。
…そうか、俺もきっと今こいつと同じくらいひでぇ顔してるんだろうな。

ははっ、俺だっせー…。



『シズのばかっ!!』


突然、声と共にドンッというよりぎゅっと音のしそうな衝撃を受けた。


彼女が俺を強く抱きしめ返していた。


『シズが…っ、うっ…抱きしめられないんだったら、私がっ…シズのこと何回でも、…抱きしめてあげる!…だからもう、そんな顔しないで?シズの…っ、悲しそうな顔なんて見たくないよ。……うっ、うわーん』

俺にしがみつきながら嗚咽混じりに吐かれたその言葉。そんな顔しないで…だ?お前にんなこと言われたくねぇよ。お前こそそんな顔すんな。しかも何だよ、最後のうわーんって。だからお前はいつまでたってもガキ扱いされんだよ。ほんと…ほ、んと に……





『シズ、泣いてるの?』







は?


何言って…… 俺 が 泣 く ?





そんな思考とは比例せず、つーっと俺の頬を伝う冷たい滴。




…はっ。だめだな、俺はこいつのことになると自分を抑えられなくなるみてぇだ。


俺はそのまま彼女の肩に顔をうずめた。ほぼ無意識に行ってしまったその行為。俺はなぜ彼女にすがりついてるのだろうか。こんな情けない顔を見られたくなかったのか、それとも彼女の優しすぎる目が見れなかったのか。…まぁ両方だな。


彼女はそのまま何も言わず、子どもをあやす様に俺の頭をぽんぽんと撫でた。ガキ扱いすんじゃねーよと思ったが、先程自分も相手をガキ扱いしたことを思い出しぐっとこらえる。しかし、まんざら嫌という訳でもない。



『シズは私の隣にいてくれるだけでいいんだよ。』


突然降ってきた暖かい言葉。
頭を撫でるのは止めず、言葉だけが紡がれる。


『だってさっきシズ言ってくれたじゃない。本当は抱きしめてやりたいのに…って。私はシズのその気持ちだけで十分だよ。』



違う。
俺はただ肩に顔を埋めることしかできない情けない男なんだ。



『でもさ、シズ。私もシズのこと愛してるから、触れてもらえないって…正直寂しいんだ。



だからね、シズ…


足 り な い 分 は

  キ ス で 埋 め て













何だ、俺が彼女を愛す簡単な方法がこんなとこにあったなんて。


顔を上げた俺は、その愛おしい唇に吸い寄せられるかのように唇を重ねた。





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シ ズ ち ゃ ん が
乙 女 す ぎ る ww

誰だこれですよねはい。
私も途中でシズちゃんがわからなくなりました←

drrr企画“raska”さまに提出させていただきました*
素敵な企画に参加させていただきありがとうございました:)