私がシュウと知り合ったのはいつだったけな。一年前?二年前?それとも十年前?そんなのも思い出せないくらい、私はシュウと一緒にいた。
私とシュウは、お互いのことで知らないことはないってくらい仲がよかった。でも、シュウは私に隠してることがいっぱいあったんだ。


『シュウ…!!』
「…名前」
『さっきの…さっきの、どういう意味なの…!?』


雷門との試合が終わって、私たちゼロは敗北した。負けちゃったけど、みんな本当のサッカーができる楽しさを思い出すことができて、よかった。なのに。


「…そのまんまの意味だよ、名前。僕は行かなくちゃいけない」
『行かなくちゃってどこに!!みんなで帰るんでしょ!?ゴッドエデンから!!』


シュウは黙って首を横に振った。


「僕には帰る場所があるんだ」
『だから一緒に帰ろうよ!!』
「違うんだ、名前。僕はみんなとは一緒に帰れない」
『どうして…どうしてなの、シュウ!!』


シュウはお地蔵様の頭に手を乗せて、私を見た。
なんでそんなに悲しそうな顔をしてるの?


「実は僕、妖精なんだ」
『え…』
「ゴッドエデンに住む妖精。だから、ここから離れることはできないよ」
『嘘でしょ…信じるわけないじゃん』
「…そうかもね」


シュウは立ち上がって私の方へ歩いてきた。そんなことあるわけない。何で一緒に帰るって言ってくれないの。


「…泣かないで、名前」
『バカ…シュウのバカ!!嘘つき!!』
「…そうだよ、僕は嘘つきだ。今まで名前に言わなかった…いや、言えなかったことがたくさんある」


シュウは私の涙を拭って、目尻にキスを落とした。


「僕、名前のことが好きなんだ。ずっと前から。きっとこれから先も」
『…じゃぁ、なんで』
「名前。大丈夫だよ」
『何が…大丈夫なの…?』
「…離れてても、僕はずっと名前のそばにいる」


シュウはにっこりと微笑んで、私にキスした。そのキスはとても優しくて安心するものだった。


「…もう行かなくちゃ」
『シュウ!!待って、シュウ!!行かないで!!』
「…名前、今までありがとう。…さようなら」
『シュウ!!』


私が手を伸ばした先にシュウはいなくて。虚しく宙を掻いた。
私はその場に泣き崩れた。


『…結局最後まで嘘つきじゃん』


妖精なんて、ファンタジーな嘘。


『好きな子置いてくなんて、酷いよぉ…』


そんな私も相当バカだ。シュウがいなくなってからシュウへの気持ちに気づくなんて。


『シュウ…私も好きだよ。これから先もずっと』


お地蔵様が笑ったような気がした。




(君と言う名の灯は、)

(消えてなくなった。)











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