α公子成り代わり濃いめBL3
2023/01/05 20:08

「公子殿、「ビッチング」という現象を知っているだろうか」
「ビッチング? 知らないなぁ」

 鍾離先生は本を開いているが、その本の中身は璃月の伝記だった筈。伝記にそんな現象が出てくるのだろうか。

「ふむ、そうか」
「……えっ、なに? 教えてくれるんじゃないの?」

 答えを聞けただけで満足したかのように、先生は黙ってしまった。いや、普通この流れは教えてくれるやつじゃん。いつも聞かなくても薀蓄垂れ流してるのにどういうこと?

「気になるのか?」
「先生が気になるようにしたんじゃないか。普通知らない単語を出されたら気になるよ」

 今は手元でササッと調べられる便利なグーグル先生なんていないのだ。知ってる人に聞くか、本を調べるしかない。先生の持ってる本にビッチングなる単語があるとは思えないから、現状1ミリもヒントがないこの状況で真実にたどり着くまでどれほどかかるか……。

「ならば、公子殿が体験してみるのはどうだろうか」
「えっ、体験? 大丈夫なやつ?」
「問題ない。……俺は」
「そりゃ体験するのは俺だからね! こう、仕事に支障をきたさないかとかさ」
「……少々身体の異変はあるかもしれないな。しかし、ファデュイ内ならそう問題にはならないと思う」

 身体の異変かぁ。でもそれ以外は特に問題ないとなると……、いや、ちょっと待って。

「そもそも先生が教えてくれればいいだけじゃない?」
「俺も実際のところがどうなのか気になっていてな。だから交渉だ。俺は公子殿にまず身をもって教える。必要なら補足もしよう。代わりに公子殿は俺に身体を委ねてほしい」
「……えぇ、どうしようかな」

 先生は俺の身体が損なわれるようなことはしない、と思う。欠損や機能不全の可能性がある場合、大抵先生は険しい顔で警告してくる。邪眼使うことにもいい顔しないし、多分そう。仕事にもそう支障はないって言うのなら、まあ、これに乗るのも手かな。先生が知ってることって周りに聞いてもわからないこと多いんだよね……。

「うーん……、まあいいか。じゃあ教えてよ先生」
「ああ、任せてくれ」




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