(120803)


早乙女兄妹と男鹿と古市
刳X中にて



「オイ!だから待てって馬鹿!」

『待ってるし、待っても何もないじゃない。腕離して』

「杳子!」





「あームカつく!なんかあのヒゲの弱点とかねえのかよ古市」

「いやオレに訊かれても。…ん?」

「なんだ?なんか思いついたか」

「や…おい男鹿、あれ早乙女先生だよな?なんかモメてね?」

「む?」





「とにかく!オレは認めねえからな!」

『認めていただかなくて結構。ほんと腕はなして、痛いから』

「離したらあの男んトコ行くんだろ。行かせてたまるかくそったれ」

『あーもう!コドモじゃないんだから!』


「なーんかタイヘンそうですなあ」

「おい男鹿っ、やめとけって!プライベートだし」

「あ?男鹿に…いち…いちたろう?」

「ワープロソフトじゃなくて古市です。先生なら覚えてくださいよ!」

「うるせー、あ!!逃げんな杳子!!」

『逃げてないし掴まないでってば!』

「ええっと…勝手に口出ししてすみません、ですがこんな街中で喧嘩はちょっと…」

「うるせー銀髪!杳子が逃げるだろ!」

「オレのせい!?というか、どういったご関係ですか?彼女さんにしてはお若いような」

「エンコーみたいだな。つかもうこっちの話聞いてねーぞ」





『もういいよ。わざわざ会って話してあげたのに納得してくれなかったじゃない』

「いいから。いーから今度は家でゆっくり、な?」

『やだ軟禁とかされそう』

「しねえよ!オマエお兄ちゃんを何だと思ってんだ」

「「え」」

『ただのシスコンこじらせたならず者よ!』

「ならず者だとテメェお兄ちゃんに向かって!オイ、やっぱオマエはオレが躾ける!他の男に任せてられるかくそったれ」

『ペットみたいに言わないで!躾けられるために付き合ってるんじゃないし!』





「え……ちょ、ちょっと待ってください」

「何だうるせぇ!!」

『うるさいのはお兄ちゃんよ。なに?いちたろうくんだったっけ』

「古市です。ええっと、いまの会話をお聞きするに、もしかしてあなたがたは…」

『ああ…。申し遅れました、禅十郎の妹で、杳子と申します』

「ええええ…!!」

「いもうと?アンタそんなの居たのか」

「ひとの妹そんなの呼ばわりすんな」

『あなたたちは兄の教え子さん?』

「はい。…杳子さん。失礼ですが、ご兄妹で結構年齢離れていらっしゃいます?」

『え?ううん、年子よ。にしちゃ末期のシスコンだけどね』

「シスコンで何が悪い。そもそもオマエが勝手に男とデートするとか言うからだろーが!しかもオレが会ったことない男と!」

『この歳になってなんでいちいち会わせなきゃなんないのよ!今まで素直に従ってきただけでも感謝しなさいよね』

「当たり前だろーが!オマエが変なヤツに騙されたりしないようにだな…!」

「……ちょ、ちょっと落ち着きましょう。石矢魔ならともかく、ここで喧嘩は目立ちます。冷静に」

「そうだな、古市ん家でも行くか」

「なんで!?」

「だって古市ん家なら大声だしても問題ねーだろ?」

「あるわ!オマエうちがどんだけご近所さんからの苦情受けてるか知らねーだろ!!」

「まあいいじゃねえか、古市だし」

「てめ…!」

『古市くん家?ちかいの?』

「へ?」

『すっごく申し訳ないんだけど、よかったら場所貸してくれませんか?兄の家だと軟禁されかねないし私の家にはもう絶対に入れたくないしファミレスは今日行ってこの結果だし』





つづかない
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