(120713)


男鹿家次女(高二)とレッドテイルのみなさま。

刮盗ェ帰り



「最近は一年の男鹿って奴が相当暴れてるらしいっすよ」

「男鹿?って…(うしろを振り返る)」

「はい。あの男鹿の、弟だそうです」

「そうなんだ…。ねえ寧々、杳子は?」

「え?あれ?またアイツ…!」


◇捕獲


『だって何だか集団登校みたいで』

「みたいでじゃない!アンタはほんとにいつもいつも…。ちょっとは協調性ってものを身につけなさい!」

『きょーちょーせい…』

「協・調・性!アンタに一番足りないものよ!」

「まあいいじゃない寧々、いつものことだし、今日はそのへんで。石矢魔まで一緒に帰ってきただけでも大きな進歩よ」

「でも葵姐さん…!」

「それより杳子」

『はい』

「最近石矢魔で暴れてるって噂の、男鹿辰巳のことだけど」







『暴れてる?辰がですか?』

「噂だけどね。あなた何か聞いてない?」

『なんにも。あ、でも赤ん坊預かったって』

「赤ん坊?」

『でもすぐ誰かに押し付けるから心配ないって』

「押し付ける?え?赤ん坊を?や、待ってゴメン、話の筋がよく分からないんだけど」

『いやー、すみません。私も電話で聞いただけで、よく分からなくて』

「あ、アンタが毎晩電話してたのって弟だったの」

『うん』

「毎晩電話するって、仲いいのね」

『向こうが勝手に私のこと好きなんですよ。いつも弟のほうから掛けてきて』

「…シスコン?」

『シスコンです。紛れも無い』





「そ、それでそのシスコンの弟が石矢魔で暴れてるって話なんだけど。もしかしてその赤ん坊と何か関係があるのかしら?」

『どうなんでしょう。でも辰、自分から喧嘩売りには行かないと思いますよ?』

「売りに行かなくても無理やり買わされるでしょ」

『石矢魔だからねえ。特に今は葵さんいなくて益々野放図だろうし』

「強いの?」

『え?』

「アンタの弟よ」

『強い…は強いですよ。勢力の話なら、また別ですけれど』

「喧嘩は強いけど勢力は弱いってこと?」

『弱いというかほぼ無いに等しいですね。東条さんよりも少ないです』

「え。東条の勢力って二人よね?」

『うん』

「それよりもってことは」

『古市くんっていう、ツッコミ役の腐れ縁がひとり。ちなみに彼はモヤシ並に軟弱です』

「それ勢力って言うの?」

『言わないかもねえ』

「…」

『でも辰は、イイコですよ葵さん』

「…そうね。話を聞いている限り、そんな傍若無人な人には思えないわ」





「あ。姐さん、その男鹿って一年の詳しい情報入ってきましたよ」

「ありがとう涼子。読み上げてくれる?」

「はい。レッドテイルが北関東制圧に向かってから後、男鹿により校内破損13件。病院送りは50名以上で、神崎姫川もそのなかに含まれてます」

「……」

『…ふむ』

「ふむじゃないわよ…杳子?誰がイイコだって?」

『根はイイコなんですけどね。すこしばかり手が出ちゃうとこがありまして』



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