(110105)

かおるさんの妹と東条さん


剞w野家玄関にて


『だれー?お兄ちゃん?(キッチンから声)』

「その声は…杳子?帰ってたのか」

「だれだ?」

「そうか虎は会ったことないのか。妹だ。いろいろあって、昔から伯母さんとこに世話になっててな。来月からは帰ってこれるらしいが」

ぱたぱたとスリッパで玄関に『おかえっりきゃあ!!(滑って前にこけた)』

「…大丈夫か?怪我は」

『だ、だいじょぶです…』

「よかった。それと顔に粉ついてるぞ」

『あ、クッキーつくってたから…。そちらお兄ちゃんのお友達ですか?』

「ああ、東条さんだ」

『東条さん。はじめまして、兄がいつもお世話になっております。妹の杳子と申します』

「杳子、ちゃんと立ち上がってから挨拶しなさい」

『あ、すみません』

「……(凝視)」

『?』

「虎?」

『?東条さ、っわ』

「虎…(また始まったか…)」

『あ、あのっ東条さん?(し、視界がちがう…)』

「こいつ飼う!」

『はい?』

「いいよなかおる?」

「…ハァ。杳子、もうずっとこっちにいるのか?」

『あ、ううん。とりあえず一週間だけと思って…』

「じゃあ三日間だけな。8日の夜に帰ってこい」

『え?』

「おう、わかった。じゃあ帰るぞ杳子!」

『え?え?あ、あの、クッキーが』

「クッキー?」

『もうあと数分で焼けると思うんですけど…』

「じゃあ焼けてからにするか。オレの分もあるか?」

『あ、いっぱい焼いたので。東条さんは飲み物なにがお好きですか?』

「(杳子は物事を素直に受け入れすぎるのが難点だな…)」



剴件さんの部屋にて


「…いまから楽しみです、まる。なんだ?日記か?」

『っわ。あ、お兄ちゃんに報告を』

「んなことさせてんのか。アイツもシスコンだな」

『心配性なんです。昔から』

「まーオマエみたいな妹がいたらそうなんのも仕方ねぇか」

『…それって私が頼りないってことですか?』

「いや、けっこーたくましい方だと思うけどな」

『え?』

「?なんだよ」

『……いえ(逞しいなんて、はじめて言われた…)』

「つーかオレも心配だな」

『何がですか?』

「そんな心配されてんなら、すぐ返せって言われんじゃねーかって」

『返せって言われたら返すんですか?』

「帰りたくねぇのか?」

『そうじゃ、ないですけど…、こうやって東条さんと一緒に過ごせなくなるのは、いやだから…』

「……」

『あ!えっと、髪!髪乾かしますね。タオルかしてくださ、っわ』

「やっぱかわいーよなーオマエ……」

『ええええ?!あの、とうじょうさん』

「大丈夫だ」

『え?』

「ちゃんと、死ぬまでオレが面倒見てやるから」

『とうじょうさん…』

「しかしかおるか…手ごわいな。なんとか説得しねーと……ん?杳子?」

『東条さん…(ぎゅう)』

「(…こいつかわいいな)」




くそあまい。


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