(110102)

男鹿くんと小学校からの友人・石矢魔生徒




「おい、焼きそば」

『屋台はお参り終わってからだってば』

「お参り終わったら終わったでさっさと帰るっつうだろうが」

『うん』

「うんじゃねーよこのオカンが」







『すみませーん、1つください』

「おう、300円な」

『あ』

「ん?おー、青柳」

『あけましておめでとうございます東条さん』

「今年も元気そうだな。初詣でか?」

『はい。東条さんはもう行かれたんですか?』

「屋台組み立てる前にな。オマエ一人で来たのか?」

『いえ、…(いいか言っちゃっても…)男鹿くんがいたんですけど、どっか行っちゃいました』

「また男鹿といんのか。仲いいな」

『古市くんと同じ腐れ縁みたいなもんですよ。あ、箸ふたつお願いします』

「おう。つか男鹿いねーんならこっち来いよ」

『え?あ、お手伝いですか』

「別に手伝わなくてもいいけどな。ここで休んでろ」

「おい青柳、おせーぞ」

『あ、男鹿くん。さっき言ってたいい匂いの屋台、東条さんとこのだったみたい』

「東条?」

「よう。青柳、やっぱり手伝え。屋台任せる」

『え?』

「男鹿、場所変えるぞ。喧嘩始めだ」

「おう、やるか」

『ちょ、お二人さん?とくに東条さん?屋台は』

「焼きそば好きなだけ食っていいから」

『了解です!いってらっしゃいませ!(やけくそ)』







「焼きそばひとつお願いしまーす、ってあれ?青柳ちゃん」

『夏目さん。あけましておめでとうございます』

「今年もよろしくね。なに、屋台やってんの?」

『東条さんプラス男鹿くんイコールです』

「はは、察したよ。手伝ってもいい?」

『え、いいんですか』

「どうせ寝正月になるだけだからね。よかったら手伝わせてよ」

『ありがとうございます♪おなか空いたら焼きそばはいくらでも食べていいそうですよ』

「ほんとに?ラッキー」


『そーいえば夏目さん、今日はお一人なんですか?』

「うん。外出たら神崎くんたちにでも会えるかなって」

『まだ会えてないんですか』

「焼きそばひとつ」

『あ、はーい』

「はは、噂をすれば」

「あ?夏目、と…いつも男鹿といる…」

『青柳です。あけましておめでとうございます、神崎くんさん、城ちゃんさん』

「おめでとうございます」

「オマエらいつの間にそーいう仲になってたんだ?」

「んーと、年明けてからかな」

『おいこら夏目さん』

「あれ、違うっけ?屋台やる仲」

『…ややこしいこと言わないでください』

「あはは、もしかして可能性あったりするのかな」






「てか青柳ちゃん料理したことないでしょ」

『え。なんで解ったんですか』

「解るよ」

『…デスヨネー』

「焦がしたヤツは全部食べてね」

『え、すてちゃおうかと』

「もったいないでしょ」

『でも苦いし』

「自分で焦がしといてよく言えるって思わない?しかも他人の屋台で」

『夏目さん』

「ん?」

『静かに蔑まれるの慣れてないんですけど。できれば罵倒でお願いできますか』

「あはは。おもしろいね青柳ちゃん。断るけど」






「うおーいおいねーちゃんよーお!」

『はい?(うわー夏目さんいないのに…めんどくさ)』

「はいじゃねーよ!見ろこれ!焼きそばに紙入ってんじゃねえか!間違えて食っちまっただろ!山羊か!山羊かアニキは!?」

『はぁ…そうなんじゃないですかねぇ』

「ああ?!」

『大丈夫ですよ紙くらい。カステラのもたまに食べちゃうし』

「あ、たしかにそうだな…」

「アニキ!流されないでください!ふざけんなよこのアマァ!」

『えー…』

「なにやってんだ」

「ああ?…っひ」

『あ、姫川さん。あけましておめでとうございます』

「おう」

『姫川さんも初詣でとか行くんですね』

「まあな。つかなに絡まれてんだよ」

『絡まれたんですかね?でも多分いいひとですよあのひとたち』

「オマエな…。つか何で屋台?東条の真似事か」

『お手伝いです。東条さんは川へ男鹿くんと喧嘩に』

「相変わらずだな…。おい、それ貸せ」

『え、手伝ってくださるんですか』

「見てらんねーだけだ。やったことねぇけどオマエよりは上手くできる自信あるからな」

『ありがとうございます』

「馬鹿、けなしてんだぞ」







「おー大盛況じゃねえか」

『あ、東条さんお帰りなさーい。男鹿くんも。喧嘩始めいかがでした?』

「なかなかだ。な、男鹿」

「つかオマエ焼きそばしてねぇのかよ」

『あ、そうだごめんなさい東条さん。なんだかよろず屋台になっちゃいました』

「賑わってんなら構わねえよ」

『よかった。ヨーグルッチも鯛の尾頭付きもあるんですよ』

「カオスだな…」

『あ、古市おめあけ〜』

「よろこと。つかさっきからいたんだけどね」

『あはは、さすがにもう見ないフリできないかなって』

「わざと!?わざとだったの!?」





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