ひとりの夜は、ご飯を茶碗にこんもりとよそうようにしている。決めているというよりこれは、最早習慣のようなもので。

 しっかり食べて、離れている弟を心配させないように。あのころも、こんもりとまではできなかったけれどそうしていたように思う。


 白米に豆腐のお味噌汁、おつけもの。追加の品がないときの基本献立はこれだけだ。十分贅沢。

 食べ終わったら洗い物をし、お風呂に入り、布団を敷いて、戸締まりを確認したら眠る。ひとりの夜はこれだけだ。ついたてもない。薄い布団で、手を伸ばすこともせずに。


 なかなか眠れないときは、弟のことを考える。弟が布団を分けた理由について延々と考えて、飽きたら弟のいいところをいくつも挙げて、そのうちに寝てしまう。弟の長所はいくつ挙げても挙げ足りない。わたしは弟のことが、大好きで。弟は私の頭を撫でることが好きだ。

 それだけ。考えているとそのうち、朝が来てしまう。







111003
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -