複数ジャンル短編 | ナノ
死なせない。貴方だけは絶対に守り通す。
あの時私はそう心に誓った。

だから、今こそその約束を果たすとき。


《パァンッ》


一発の銃声が空気を切り裂いた。それと共に一人の少女が地面に崩れ落ちる。そのうち少女の体からは鮮やかな赤い液体が流れ出し周りを赤く染め始める。


「ナマエ!!」


独りの青年が、その銃声を聞きつけてかけてきた。栗色の髪の毛を振り乱し、闇よりも深いスーツを片手に抱え、赤い水溜まりでピクリとも動かない少女を抱き上げる。


「う…。ボ…ス。ご無事…ですか?」
「あぁ、でも…。どうして、どうして俺なんかを…」


涙を流す彼の頬にふれ少女は静かに笑う。 まるで、自分が最初から死ぬのをわかっていたかのように。 撃たれた傷からはいまだに液体が流れ続け、あと数分で少女はこの世からいなくなるだろう。


「ボス…ボスはボンゴレの十代目なのですよ?ボスが死んだら…皆が悲しみ、途方にくれるでしょう?」
「でも…でも…。ナマエ、お前が死んだら俺は…また、あの頃のダメツナに戻っちまう。俺にはお前が必要なんだ!」


少女は絶えず涙を流し続ける彼の頬を軽く撫で、彼はその手を二度と離すまいとしっかりと握った。死に至るまでの時間がこくいっとくと迫る中、少女は笑う。まるで痛みなど感じていないかのように。


「ボス…覚えてますか?幼き頃…流れ星を見ながら交わしたあの約束」
「あぁ。『将来は二人で楽しく暮らそう…』」
「『もし、それが叶わなくても…二人で楽しい思い出をたくさん作ろう』…あの約束を交わしたあと、貴方は…ボンゴレ十代目になった。私は貴方を守るために…裏の社会に身を…おいた。そして、私はある一つの誓いを…たてたんです」
「一つの誓い?」


少女は頷き彼の瞳を真っ直ぐに見つめた



「はい。『これから先沢田綱吉を自分の命に代えても守る』と…」
「っ!?」


彼は一瞬とても驚いた表情をし、また悲しみに満ちた表情に戻った。


「…だから、これでいいんです。…さよなら。綱吉…」


幼きころと同じ様に彼の名を呼び少女は自分の命を手放した。 少女の手は彼の手を放れ地面に落ち、頬を一筋の涙が流れる。


「…ナマエ?ねぇナマエ!待ってよ、まだ俺お前と話したいこといっぱいあるのに!」


彼は何度も少女の名を呼んだが返事が帰ってくることは…なかった。





誓い
(なんで、なんで一方的に言って死ぬんだよ…俺だってお前に言いたいこと沢山あったのに…ナマエの馬鹿)
091117 修正
100627 修正


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