複数ジャンル短編 | ナノ
ザー…ザー…ザー…。


「…。」
「…。」


ザー…ザー…ザー…。


「……あー…もう…うっぜーーーー!!!」
「うわぁああ!」


大声をあげ読んでいた漫画を投げ飛ばすと、隣にいた綱吉もまた違う意味での大声を上げた。私がいるのは幼馴染・沢田綱吉の家…の綱吉の部屋。
「あー・・・」と間の抜けた声で彼のベットへと倒れれば、彼は慌ててベットの端に寄ってくれる。


何時もながら…いい人だな、綱吉は。


隣で本を読む彼。私はその隣で寝転ぶ。
第三者から見たらあるいみ危ないが、幼馴染という関係の私たちには関係ない。
ごろごろと転がり彼の上に上ると、下ではくぐもったうめき声。そのまま上に覆いかぶさり、何の本を読んでいるのかと見たら最近人気のバトル漫画だった。


「綱吉ってさ、バトル漫画好きだよねー」
「そう言うお前だって好きだろ?これ」
「勿論。主人公かっこいいもん」
「俺はその相棒が好きだな〜」
「おー、綱吉はこういう陽気な男子に憧れているのか…」
「へへ、まぁね」


照れたように頬をかき綱吉はまた本に視線を戻す。私も綱吉の上に乗りながら一緒にその漫画を読む。

時計が時を刻む音と漫画のページが捲られる音、窓からは雨が降り注ぐ音が室内に響く。


「ねぇ綱吉…」
「んー?」
「綱吉ってさ、こういう男の子が理想なの?」
「んー…そう、かな」
「へー」


彼の頭に顎を乗せ更に体重をかける。


「いたっ!痛いって!!」
「…ねぇ、綱吉」
「〜っ…なに?」


若干涙目になりながらも彼は怒りもせずに返事を返してくれる。

それは、彼がさっきの私の行動が甘えだと知っているから。誰よりも私の近くにいて、誰よりも私のことを理解してくれているから。だから彼は私に誰よりも優しく接してくれる。

誰よりも私のことを見てくれる。

私は綱吉の背中に顔を押し付ける。本人はなにがなんだか分からない様子。


「さっきの訂正」
「うん?」
「さっき「主人公がかっこいいから好き」って言ったでしょ?」
「あぁ、うん」
「それ訂正。私は綱吉みたいな優しくて他人思いの人が好き」
「へぇ〜……ってえぇええええ!そ、それって」


私の方を向こうとする綱吉。私はそれを背中に更に顔を押し付けることによって妨害する。


「ちょ、おい」
「こっち見んな」
「えぇ!(口調違くない!?)」


それでも尚綱吉は私の方を向こうとする。

数分間格闘しあい結局綱吉が下で私が上に被さる体制でご対面。
綱吉の顔はトマトのように真っ赤。私の顔もそれに負けないくらい真っ赤で。

静かな部屋に雨の振る音がやけに響いた。




雨(レイン)
(その雨の冷たさが、今の私たちには心地いい)

旧サイトに掲載していた拍手お礼。
0907?? 執筆
100429 修正


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