ネタ吐出し場 | ナノ



復活×戯言×嫌われ×復讐 悪女VS復讐主、時々神様※流血有

ある二人の人間の命が尽きるとき、私は興味本位でその二人の魂を引っ張ってきた。
別段何か手違いがあったとか、自分がミスをしたとかではない。ただの興味。好奇心だ。
自分の神域に二人が鉢合わせしないように、タイミングをずらして招き、他の世界に転生してみないかと聞いてみた。
二人とも迷うことなく二つ返事で了承してくれた。どんな世界がいいかと問いかけてみれば、片や復活というジャンルがいいと言い、片や復活×戯言の世界がいいと言った。
ついでに、自分たちに特殊な能力をくれとも言ってきた。
私的にはただ転生させるだけの予定だったんだけれど、随分と欲張りな子だなと少しだけ表情が歪んでしまった。
その二人は当たり前のように沢山の条件を突き付けてきて、これを全部叶えるためには二人ともかなりの代償が必要だった。
しかし、それを言ったら色々と文句を言われそうなので、何も言わずに私は二人に共通の代償を付けた。
その代償が何なのか、告げてもいいけれど、どちらも鉢合わせせずに生きていければ特に問題はないことなのでいう事はしなかった。
ただ、いざ転生と言う時に警告はした。


「君には魂の半分を担っている存在が別にいる。出会えるかどうかは君次第だけれど、その存在が死ぬと君にも影響がいってしまうからくれぐれも慎重に生きてね」


私の言葉を聞いた二人は不思議そうに首をかしげたけれど、少し考えた後に「わかりました」と返事をした。




▽▲▽




びちゃり、と赤い液体を踏む。そこは私が仮の姿で通っていった学校の教室だった。
中に生きている人はいない。あるのはただの肉片だけだ。
その中に、転生した人物の一人の死体が転がっている。虚ろな瞳はただ信じられないというような表情を受かべていた。
胴体と離れたところに転がっているその人物の頭を拾い上げ、私は化粧で彩られた唇を親指でなぞった。


「だから、やりすぎはよくないよと言ったのにね…」


君は私の言葉に聞く耳を持たなかった。これがその結果だ。なんて哀れな子なんだろう。
あれだけ沢山の要望を聞いてあげたのに、更にその先まで求めてしまうのは人の性質なんだろうか。
ぱちゃり、ぴちゃり、と校舎内すべてに広がる赤い液体の中を、その子の頭を抱いたまま歩く。
歩いて、歩いて、外に出ればそこにいるのは、ボンゴレファミリーの死体を前にして嬉し気に仲間と笑うもう一人の転生者の姿。
彼女は私に気付いた後、その手に持たれているものを見て一瞬にして顔を引きつらせた。


「ど、どうしてそれを…」
「これ?一応持ってきた方がいいかなと思ってね」


半開きの口に血で濡れた髪、虚ろな瞳。それを見えやすいように顔の横まで上げてやれば、彼女は怒りの表情を露わにした。


「捨ててよ!そんな最低な奴の首なんて!」
「ふぅん、随分とひどいことを言うんだね。自分の半身に対して」
「え…?」
「私は言ったよね?君には魂の半分を持つ別の存在がいるって」


――それが、彼女だよ。

にっこり、と口角をあげて笑みのまま告げれば、怒りの表情は絶望の表情へと変化していく。まるで一人百面相を見ているようでとても楽しい。
嘘だ、と震える口で言葉を紡ぐ彼女に、嘘じゃない、と真実の刃をつきつけてやる。
確かにしっかりと彼女だとは言わなかったけれど、私は散々言ったのだ。それこそ、両方に口が酸っぱくなるほどに。


「やりすぎないようにするんだよ」


私は静かに二人に対してそれぞれ言ったのだ。何度も、何度も。
それを無視したのは他でもない本人たちだ。


「う、そ…嘘よ、嘘…!」
「あれだけ忠告したのに、君たちは耳を貸さなかった。その結果だよ。ただの自業自得だ」


だから、私は本来の姿でやってきた。私の言葉を受け止めて、途中までで辞めていれば私はそっと姿を消すつもりでいたのだ。彼女が仲間と一緒に殺す生徒の死体に紛れて。


「でも、そいつを殺したけど私の体には何も…っ」


突然、という言葉が良く似合う。さっきまで顔色を散々変えて「嘘だ」と連呼していた彼女は、まるで糸が切れたようにその場に崩れ落ちた。
周りにいた仲間たちが駆け寄って声をかけるが、ぴくりとも動かず、返事もしない。当たり前だ。そうなるように私が元から仕組んでいたんだから。彼女は今この瞬間、半身を殺したことに対する影響で同じように死んだのだ。
ただ、半身である彼女を殺してすぐにそうならなかったのは、この事実を一応知らせた方がいいと判断したからだ。


「でも、流石に君たちも彼女の為とは言えやりすぎだよ」


校舎の人間だけじゃない、この町の人間すべて、ましてや海外にまで手を伸ばしてしまった。
校舎の人間だけだったら、仕方がないと目を瞑っただろう。
この町の人間すべてまでだったら、少しだけ注意するところでおわっただろう。
けれど、流石に海をこえてしまってはこちらも調整が大変になる。


「お前は何者なんだ!」


涙を流しながら、彼女を取り囲んでいた一人が私を見て叫ぶ。
何者、そう聞くのか、彼女との会話を聞いた後に。随分と面白い問いかけをしてくれる、と自然と笑いが零れた。


「私は、この世界を作った神様だよ」


ぼとり、と手に持っていた首を地に落とし、無造作に足で踏みつぶす。もういらないものなので、原型などなくても問題はないだろう。
馬鹿な、何を言っている、なんて叫びが聞こえてくるけれど、そんなの今の私にはただの雑音にしか聞こえなかった。


「本当ならこういう事はあまりしちゃいけないんだけどね、流石にここまでひっかきまわされちゃったら手直しが大変だからさ。せっかく生まれた君たちには悪いと思うけど…」


――この世界は一度なかったことにするよ。

ゆっくりと手を広げ、まるで本を開くような形を取る。彼らには何も見えないんだろう。けれど、私にはこの世界を構成しているモノがしっかりと見えていた。


「まぁ、また別の世界でもし会うことがあったらさ、次はもっといい関係と物語を築いてくれることを心から祈っているよ」


「ばいばい」と最後にわかれの言葉を告げて、ぱたん、と本を閉じるように私は手を閉じた。途端にまるで電気を消したかのように周りは真っ暗な闇に包まれる。
あんなにもあった人の声や自然の音が一斉になくなり、静かな静寂が暗闇に流れる。


「さて、次はどんな世界を作ろうかな」


ぐっと腕を伸ばして、私は踵を返して歩き出した。目的地はない。けど、やりたいことはある。それのためにやらなくてはいけないことを考えながら、私は暗闇を歩く。


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