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刀剣×MHA 間違えて雄英を受験した主と蛍丸

誰もが憧れ、一度は夢見たヒーローという職が脚光を浴びる時代。実際に助けてくれる英雄の影で、精神的に安らぎを与える神様とそれ関連を執り行う神社には一定の人は訪れていた。新年になれば参拝客もくるし、七五三だってくる。何もない平日だってちらほらと参拝に来る人の姿は途絶えることはない。ヒーローは皆の日々の安全を支え、そして神様は精神を支えている。そう言った父の優し気な笑顔を、私は今でもしっかりと覚えている。
そんな私はなぜか今、自分よりも大きなロボットと向き合っていた。周りで響く爆発音や大きな声、そして何かが壊れる音。そんな中でも緑色のロボットはしっかりと私を見ていた。


「ターゲット、確認」


機械じみた音でそう聞こえたと思ったとたんに振り下ろされる腕。慌ててそれを避けながら、なんで私はこんなところにいるんだろうと考えた。小さい子は皆口をそろえて将来はかっこいいヒーローになるといい、強い個性を持つ学生もまた、ヒーローを目指して有名な高校へと進学を決める。
そんな中にあって、私の将来の夢は違った。私の将来の夢は父の仕事を継ぐこと。つまり、神社の跡取りだ。私を育て支えてくれた両親のように参拝に来る人に慕われる優しい宮司になる。それが私の夢であり、決めた将来の道だった。なのに、どうして。


「なんでこうなってるのか皆目見当つかない。誰か説明くださいマジで」
「それはとりあえずあのロボットをなんとかしてからの方がいいんじゃない?主」


ロボットに背を向けて攻撃をひょいひょい避けながら走る私の隣を同じように走る小柄な姿。小さな背に似合わぬ大きな刀を持つ銀髪の少年が前を見ながら言う。


「いやでもさ、私一度もヒーローになりたいなんて言った覚えないよ?学校だって神職関係を選んで希望も出してたし。誰?私に黙って雄英高校に受験の紙とか持っていったの」
「主のお父さん」
「蛍丸、知っていたんだね」
「うん、見てたから」
「そっか。できれば止めてほしかったよ」


ごめん、と走りながら謝る蛍丸。まぁ、流石にすべての疑問やら不満やらを刀の付喪神に当てるのは筋違いだ。しつこく追いかけては攻撃を仕掛けてくるロボットを背後に引き連れながら、さてどうするかと考える。父が勝手にやったとは言え、それにぎりぎりまで気づかずに来てしまった私にもそれなりに責任はある。こういうのを想定せずに、誰も連れてこなかったよりはましな状況でもるし、とりあえず全部終わらせてから次の動きを考えることにした。
逃げのために動かしていた足を止めて後ろを見れば、迫ってくるロボットの姿が見える。


「とりあえず、あれを切ってから後は考えることにする。手伝って、蛍丸!」
「勿論!」


手から一本の短刀を出して鞘からその刀身を引き抜く。ギラリと光る刃にロボットをうつし、地を蹴って首と胴体をつなぐ部分へと切りかかる。振り切った刃と交差するように通った刃は蛍丸のもの。二人で再度地面に足をつけば、背後でガシャンッとロボットが崩れ落ちる音がした。


「このくらいの柔らかさなら余裕だね」


刃の様子を見つつ言えば、くいっと服の袖がひかれた。


「柔らかいのはいいけどさ、数の問題はあると思うよ?」


抜いた刀身で示された方向を見れば、確かに此方へと向かってくる機械が数体。「ターゲット、確認」と何度も聞こえてくる機械声。その姿に思わず表情が固まった。


「蛍丸、あれは流石に無視しても…」
「まっすぐにこっちに向かってきてるから、無理じゃない?」
「ですよねー」


はぁ、と大きくため息をつく。ヒーローを育成する有名な高校とは聞いているけれど、これは流石にやりすぎじゃないだろうか。一度下ろした刀を改めて構え、向かってくるロボットを見る。何をやるにしろ、何を考えるにしろ、まずはこの実践試験を終わらせなければのんびり考える時間はない。なら、私がやることは決まっている。


「蛍丸、来るヤツ全部切っていくよ!」
「わかった!」


どこか嬉しそうに返事をした蛍丸と一緒に走り出した私の足はもう止まることはない。


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