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転生 平凡主がいろんな世界にトリップする話:序章

※長編にて連載開始。本編はこちら


自分の生きている世界はなんてちっぽけな世界なんだろう。ふと小さいころにそんなことを考えていたこともあった。
それはきっとキングダム●ーツとか夢小説とかを読んだりプレイしていたことが原因だと思う。
とにもかくにもそういう作品や二次創作で素敵な世界を創ってくださった作者様のおかげで私の厨二脳はメキメキと鍛え上げられたわけである。
好きなキャラ、好きな世界、好きな作品、それを餓えた狼のように喰らい、集め、気が付けば棚はゲームと漫画とラノベで占領され、私の頭の中も同じような感じで占領されていた。
まぁそういうのは人それぞれの好みによるものであるからして、周りがとやかく言えるわけでもない。それをわかっている両親も私の趣味に特に口を出してくることはなかった。ありがとう両親。いくら言っても娘がいう事聞かないからあきらめたとかそんなことじゃなくて、私の趣味をわかってくれたからこそ何も言わないんだって娘は信じてる。
そんな日々を過ごして数年。私も晴れて大学生という学生最後の時期を迎えていた。それでもその頭は変わることなく、むしろ悪化の一途を辿っていたのは仕方ないだろう。
人間、洗濯しても綺麗にならないくらい腐ったら落ちるのみである。ちなみにそれは体験談だ、私の。


「うー…今年も相変わらず寒い」


あー…と、女子らしくない声を上げつつそんな現実逃避をしつつ見つめるのは目の前のお守りの数々。毎年バイトという事で通っている神社は三が日を過ぎると人もまばらで忙しさも激減する。
先輩から紹介されて特に新年やることもないからと始めた巫女バイトは、意外と私を相性がよかったらしい。もらえる収入もいいこともあるし、仕事も私好みだったことから巫女の知識を蓄えていった私は、もうバイトする巫女の中では古参のうちの一人となっていた。
白の袖をすりすりとすり合わせながら、あけられた窓から吹き込む風にぶるりと身を震わせて来年はこれるだろうか、なんてことをぼんやりと考える。
出来れば最後の年までいたいなーなんて考えつつ来年の計画を練っているといつの間にか時間は過ぎ、バイト終了の時刻となっていた。


「今年もお疲れ様。これ、今回のバイト代ね」
「ありがとうございます」


にこにこと優しげな笑みを浮かべる雇い主の宮司さんから封筒を受け取ると、その重さに思わず口元が緩む。さて、このお金で今回は何を買おう。また新しくできた楽しみに自然と足も軽くなる。
数日間だけだったがもう私服のように着慣れたものとなっていた巫女服を脱いで、防寒に重要性を置いた服へと着替える。今頃家でのんびりしているだろう両親へと連絡を入れて、時間を確認してから外へと出た。
外はもう真っ暗で、灯の光が消えた社はしんと静かで働いていた時の賑やかさが嘘のように感じられる。親が迎えに来てくれるまでまだ時間はある。踏み出した私の足は自然と本殿へと向いていた。
麻縄にくくりつけられた鈴をガランガランと鳴らして、二礼二拍。さて今年は何のお願いをしようか。いつもは神様へのご挨拶で済ましてしまっているが、たまにはお願いごともしてみようかと、ふと好奇心がわいてくる。

お金がたくさん入りますように?
イケメンな彼氏ができますように?

いや、それでは平凡だ。もっとどこか吹っ飛んだお願いごとをしてみたい。と、そこまで考えたところで一つの願い事が浮かんで私の口元はにんまりとゆがんだ。


「ここじゃない、色んな世界に行けますように」


思うだけじゃない、しっかりと口から言葉として発する願い。叶わないことはわかっている。所詮ああいうのは夢小説上の話だから。それでも、たまにはこんなお願いごとをしてみてもいいだろう。夢がなくては人生面白味がないのだから。
お願いします、と念を押すように呟いて、深々と一礼。その時本殿からふわりとふいた風が私の髪を揺らした。


「よし、そろそろ帰るか」


時間的にちょうどいい時間だろう。俯けていた顔をあげれば目の前には変わらず灯りの消えた本殿がある。くるりと踵を返して石畳の道を出口へと向かって歩き出す。
次第に目前へと迫ってくる狛犬と鳥居を見上げながらその敷居をまたいだ時だった。不意にさっきよりも強い風がぶわりと吹いたかと思うと、敷居の向こうへと踏み出した足から地面の感触が消える。


「え?」


気が付いたときにはもう遅く。私の体は浮遊感に包まれていた。


□ ■ □ ■


※16/01/17 12:51に投稿していたトリップの全体的な話はいったん下げました(16/01/21)


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