告白と返事と

気になっているわけではない。
いや、気になってすらいない。
存在すら知らなかったに等しい。
だからこそ反応に困るというものだ。
相手は多分、多分こちらに喧嘩を売っているのであろう。
そうでなければ初対面の人間に呪ってやるとか蹴り倒す
なんていう罵声を浴びせたりはしないだろう。
少し核心を突くものがあったりなかったりするのが微妙なところだ。
そんな喧嘩腰から急な告白。
きっとブレーキが利かなかったんだろう。
さっきから一方的にひたすらしゃべられている状態。
どうしたものかなあ。
しかもでっちあげだかなんだかでずっと見てくれてただろうとか言い出す始末。
この人は一体どういう言葉を期待しているんだろうか。
こんな一方的に休みなく話されてしまっては何を言えばいいのかわからない。

とにかくすきなんだ、つきあってください
この言葉でとりあえずブレーキがかかった。
暑苦しい演説まがいの告白をどうも有り難う、とでも返そうと思ったが
場所が場所。
大学の教室の中で、しかも人が見ているためそんな返事はできない。
でもぜひとも断りたい。
顔見知りならまだしも全く知らない人間と付き合うなんてとてもじゃないけれど無理。
黙って考え込んでいると周りからは付き合えの合唱。
やばい、さっさと何か言わなければ。
そう考えた自分の頭からとっさに言葉を引き出して文を構成して口から音として発した。
「返事はまた今度、とりあえず名前と学部教えろ」

相手には何かを勘違いされたらしく満面の笑みで名前と学部を言われまた今度来ますと去られた。
今まであまり国語の勉強をしてこなかったせいで言葉をあまり知らない自分を何だか恨みたくなった。

/告白と返事と

[ 1/19 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -