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作法室に仙蔵くんと二人きり
仙蔵くんの委員会が終わったところに私が乱入したのだ


「仙蔵くんは、もうすぐ、卒業なんですね」


「名前」


仙蔵くんは私の先輩です
でも、「立花先輩」じゃないんです


私は、仙蔵くんの幼馴染だから
小さいときから、一緒だったから


仙蔵くん、知らないでしょ。
私が学園に入学した理由


いつか言うかも。でも、今は言わないよ
仙蔵くんきっと怒るもの


忍術学園に仙蔵くんがいたから。とか



「仙蔵くんは卒業したら、どこのお城に行くの?」


「言わん」


「なんでさ」


「言ったらついてくるだろうからな」


「バレたか」


やっぱり仙蔵くんは私の考えることなんて、お見通しで
でも、私は仙蔵くんの考えてることはサッパリで


潮江文次郎先輩なら、分かってるんだろうなぁ
悔しいな


仙蔵くん。
本当はね怖いの
貴方のいない一年間が

それを想像するだけで、不安になって泣きたくなるの


「教えてよ。私もそこに入るから」


「…名前、」


「仙蔵くんあるところ、名前ありだもん」


「鉢屋か、お前は」


三郎と一緒にしないでよ。変態だもん、あの人




「一緒にお仕事したいなあ」


「お前には、まだ早い」


「ケチ」


「なんでお前はそこまで私の進路にこだわる?」


「だって、  職場同じじゃないと一緒にいれないじゃない」


「仕事が一緒でなくとも、そばにいてやるとも」


「…ほんと?」


疑心暗鬼、疑いの目。そんな目を仙蔵くんに向ける


「ああ、死ぬまでな。本当に茶番みたいだ」


「酔狂かしら」



死ぬまで、そばにいよう




優しい嘘
(私だって、そのくらい知ってる)
(だけど、聞きたかったのその言葉)






口調がわからない