short | ナノ




可能性のはなし



あぁ、あいつって本当にめちゃめちゃ不運だと思う


もんじろ
せんぞ
こへーた
ちょーじ
けまとめ


あと、私


生まれ変わった世界はそれで成り立ってた
私ね、途中で気付いたの。

小学校で他の5人に再開した時、思ったの


一人足りない。
大切な大切な、守りたくて、守れなかった
笑顔の素敵な、優しいアンタがいないって


あんた本当に不運だよ
不運委員長ってレベルじゃないよ


なんでアンタまだ、



そんな恰好して彷徨ってんの?



あんたを見つけたのは、中学最後の年。
私の前を歩いてたけまとめを見つけて、声をかけようとした時、気づいたんだ

けまとめの周りを「留さん、留、留三郎…」必死に声をかけるアンタ
なんで、けまとめ気づかないの?
ねぇ、あんたの同室のヤツ、そこにいるじゃん



薬臭くて、おっちょこちょいで、不運に巻きこまれるけど
オレ、コイツと仲間でホントよかった

な、伊作?




「い、さく…」




伊作、なんで忍装束着てんの?


「伊作!!!」


振り返る、亜麻色の髪の少年
色素の薄い、綺麗な眼が私を捉える


「おー、なまえはよー」


「は、よ…」


けまとめ、お前本当に見えてないのかい?


「ちょ!?なまえどこ行く!?」


私は、思わずその場から、立ち去る。
ちっくしょー、キツいなぁ。
神様は残酷だな…



「…は、は」



散々走ったあと、私は体育館倉庫に近くにいた
何かバカらしくなって、笑いがこみ上げる

背後から、優しく包まれる体。


「伊作?」


振り返ると、確かに伊作がいた。
ミエルよ。私、あんたのこと見える。


「不運すぎんだろバカぁ!!」


(ごめんね)


「あんた、しゃべれんの…?」


(なまえには聞こえるの?)



私って霊感ある方だったんだ…
お化けが見える。

怖いなぁ。そんな能力要らないなぁと思ってた過去の私、このやろう
よかった。見えてよかった


私、アンタを忘れたくなかった
忘れられなかった




「伊作。私、今でも君が好きなんです」














「なあなあ、幽霊っているのか??」


「急にどうしたのだ、小平太」


「昨日心霊番組やってたー」


「……いる、とは思う」


「長次もそお思うかー!私もだ!」


「いねえだろそんなもの。くだらん」


「文次郎と一緒が気に食わんが、私もいないに一票だ。」


「俺は、いると思う。なまえは?」




「私もいるに一票。だって」







私、恋人が幽霊ですから








  可能性のはなし
   (死ぬまで一緒よ)
   (僕、もう死んでるけどね)





伊作って不運すぎて、一人だけ取り残されてそう…
という妄想から生まれたもの