光の女神 彼女はいつも、光の中にいた 「なまえ。」 「……」 出た。存在無視攻撃 別に彼女に悪気があるわけではない。俺のことが眼中にないだけで。 ひとつ言っておくと、彼女は集中力が半端じゃないぐらいある 悪気はないのに怒っているように感じてしまうもんだから、俺はあえてその行動を"攻撃"と呼ぶ ただ、無視をされていてもひとつだけいいことがある(別に俺がマゾとかそういうのではなく) 彼女の本を読む姿が 美しいから。それだけ 思えば、初めて彼女を見たときも本を読んでいた。光の中で悠々と あんな風に本を読む人がいるのだろうかと、俺は思う 慈しむようにゆっくりとページを捲る指 本に向けられる、伏せ目がちな優しい目。薄く弧を描いている唇 目が離せなかった。単純に綺麗だと、美しいと思った。 そんな彼女が自分と同じ部屋にいて、同じ時を過ごしているというのに、まるで本と自分との二人だけの世界を創り出している 少しムッと来てもいいよな、これは 俺もいるんですけど。とでも言うように彼女の後ろから抱きついてやる 「…ハチ?」 「ん」 やっと気づいてくれた。彼女は、なまえは諦めたように本にしおりを挿み閉じる 「どうかした?」 「…別に」 ちょっと拗ねたように言うとなまえは少しだけ驚いたような顔をする 「ごめん」 そう言って綺麗にほほ笑むなまえ その笑顔に堕ちた俺には効果は抜群なわけであって。 一気に恥ずかしくなって俺はなまえの肩に顔をうずめた 優しい香りがする 「ハチ、顔真っ赤」 「知ってるし!!」 「可愛いねぇ」 お前のほうが可愛いよ!! 光の女神 ( あぁ、お前がそんな顔をするから! ) |