:: 団蔵
「私、白馬の王子様が迎えに来てくれるって信じてる」
それ、なんで前世で言ってくんないの?
そりゃ白馬ってわけにはいかなかったけれど、それでも十分カッコよく、なんなら王子様みたいに登場できる自信はあったよ
王子様以上だよ、馬術は。
どこの王子様だかなんだか知んないけど、そんなやつにお前をやすやすと渡すわけないだろ?
お前を後ろに乗せて、「しっかりつかまっていろよ」だなんてかっこよく言って。
それからだだっ広い草原を、お前と二人で笑いあいながら駆けていく。
そんなことだって、できたんだよ。前までは。約500年前までは。
なんで今頃になってそんなこと言ってくれるの。
俺の家はさすがにもう馬なんて持ってないよ。馬が駆け抜けられるほどの草原だってっそこそこないよ。
でも、お前がその「白馬の王子様」とやらに本気で夢を見ていて。
いつか王子様が現れることを信じてやまないのなら。
俺はなんだってするよ。俺はお前の王子様になりたいんだよ。
「どうしたの。さっきからだんまりしちゃって」
「あー…牧場行こうか?」
「は?」
- - - - - - - - - - - - - -「白馬の王子様見たいんだろ?」
「そういう意味じゃねえよ」
2013.08.24 (Sat) 12:23 (
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