:: 綾部

「喜八郎。私が死んだらあなたが埋めてくださいな」


「嫌です」


「ケチ」


「先輩は死ぬが怖くないんですか?もうすぐ実習でしょう?」


「怖いわよ。だけれど、貴方が掘った穴で眠れるなら、寂しくなんかないもの」


「埋めるって…、火葬じゃなくていいんですか?」


「じゃあ、貴方が燃やしちゃってちょうだい。あ、死に化粧も綺麗にしてね。あなた、作法委員でしょう?」


「なんでそこまで僕にやらせるんですか?」


「様するに、あなたに私の最期を見届けてもらえばそれでいいの」



それが彼女の最後の頼みで、僕はそれを叶えることになった







2011.12.01 (Thu) 17:40 (0)


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