ヴァンと二人でやって来た夢の国。
気合い十分の私達は、2時間前から到着し開園待ちをしていた。

人はすごいし待つのは大変だったけど、ヴァンと待っていると時間はあっという間に過ぎ、いつの間にか私たち二人は入り口のゲートをくぐっていた。


周りの人たちは思い思いに急いで、中には全力で走っている人もいる。キャストさんが走らないで下さいという注意書きを掲げているにも関わらず。うーん、みんな気合入っているなぁ。2時間前から並ぶ私たちが言えた立場じゃないけど。



「ほんなら早速開園ダッシュするか!」
「ヴァン、危ないから走ったらダメだよ」
「まぁまぁ、分かっとるから。んじゃワイはファストパス取ってくるな!」
「は、走らないでねー」


そう一応警告したけど、いつの間にか人混みの中に消えていったヴァン。

大阪の遊園地には慣れていると言っていたけど、ここの夢の国は初体験らしい。迷わずに行けるかなぁ。ていうか、走ってないかなぁ。あぁ、心配だ。



ひとまず私は開園前の打ち合わせ通り、パークの奥にあるアトラクションまで移動し、行列の一番後ろに並ぶ。ヴァンがファストパス…他のアトラクションの優先乗車券を取って合流する予定なんだけど、
「ファストパスゲットや!」
「ちょ!早すぎない!?」
「?いや…」
「絶対走ったでしょ!危ないから走らないでって言ったのに!」
「き、競歩や競歩!」


何その言い訳。そう思いつつも、汗ばんだ額を拭いながら(やっぱり走ったんだな)隣に並ぶヴァンの笑顔にほっとする。


一人で寂しかったやろ?なんて聞いてくるから、寂しかったのはそっちでしょ、なんて可愛くないことを言ってしまう。それでも、はいはいと言いながら手を繋いでくれるヴァンに、心から安心してしまう私だった。




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