「ぬいぐるみを抱えて園内を歩いて何が楽しいのか理解に苦しむ」


開園早々、私にはアトラクションより先にどうしても行きたいお店があった。
最近大人気の、茶色いふわふわのクマのぬいぐるみ。名をダッフィーちゃんという。そのクマちゃんを抱っこしながらパーク内を歩くのが定番らしい。

そのクマちゃんを求めて、瑛一を売店まで連れて行こうとしたら、鼻で笑われた。むかつく。なんなのこの変態眼鏡。



そんな瑛一を置いて、一足先にお店へ入る。そこにはクマちゃんのぬいぐるみが棚にぎっしりと並べられている。ゆ、夢みたい…!可愛い!


「ねぇ見て瑛一!」
「なんだ、ここは」
「すっごく可愛いでしょ…って言っても、瑛一には伝わらないか」

どうせ興味ないだろうから、外出て待ってていいよ。そう言おうとした私は、その場で固まる瑛一をちらりと見た。眼鏡がきらーんと光っている。え、どうしたのこの人。




「イイっ…!実にイイ…!」
「は?」
「フワフワの毛、つぶらな瞳…!そしてこの愛らしい肉球…!」
「鳳にいさーん」
「完璧なフォールム!バラーンス!!なんと素晴らしいんだ!」
「(他人のフリして帰ろうかな)」


私にピンクの女の子のクマを買ってくれた(そこは優しいから買ってくれる)瑛一は、なんと自分用に男の子のクマを購入していた。

しかも私のは普通サイズなのに、瑛一はもうワンサイズ大きいやつ(なんで!?)。
それを嬉しそうにニヤニヤしながら抱っこして歩く瑛一は、周りからみたら変人だと思う。いや、変な奴だけど。



「ふふ…ダッフィー…夢の国最高だ…!」
「(マジで離れて歩こう)」
「さぁ!写真を撮ろうではないか!」
「話かけないでくれます?」


でもそんな瑛一を見て、パークのスタッフさんは「お兄さんのダッフィーちゃん可愛いですね」なんて言ってくれる。周りの人も温かい目で見守っていた、怖いくらい。夢の国、恐るべし。




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