秘密

龍馬さんと慎ちゃんは朝餉を食べたら人に会うため出掛けて行き、以蔵は武市さんの私用でいない。
そんな私は寺田屋に残っている武市さんとお勉強中。
なぜお勉強中かというと…
掃除も終わり、縁側でぼーっとしていたら声を掛けられて一冊の本を手渡された。

「する事が無いのでしたら、どうですか?」

苦笑いに近い微笑みで手渡された、と思う。
する事が無いのは事実なので受け取った本を捲ってみる。


……む、無理

捲っても捲っても私には読めそうになくて、パタンと閉じる。
本を見てから武市さんの部屋へと視線を移す。
武市さんは本を私に手渡すと自室へと戻っていた。
せっかく貸してくれたのに読まないのは悪いよね…

「よしっ」

本を持ち立ち上がる。
向かった先は武市さんの部屋。
読めないという後ろめたさも手伝って縁側の廊下から伺うようにして声をかける。

「あの…武市さん」

私の呼びかけに武市さんは読んでいた本を閉じる。そして顔を上げると今度は微笑んで私を呼んでくれた。
「どうぞ、せれねさん」
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