- ナノ -
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 謙也さんは誰にでも優しい。そのうえ面倒見が良え。金太郎は勿論、小春先輩にフラれた言うて毎回泣き付いとるホモップルの片割れにも分け隔てないくらいの愛情、ちゅうか友愛を注いどる。そら謙也さんと俺は恋人同士っちゅう関係やけど、せやかて俺だけに優しくしてなん言えるわけあらへん。それに謙也さんが色んな人らに優しく接しとるんを見るんが好きっちゅうんもある。せやけど、やっぱ寂しくなってまう時かてあんねん。口を開けば毒舌しか出えへん、態度も可愛いげあらへん。そないな俺をどないして謙也さんは隣に居らしてくれはるんか。たまにどうしようもなく不安になって、せやけどそんなん俺の口が言うわけあらへんで。謙也さんに重荷やと思われるんも嫌や。


「光、どないしてん。めっちゃ眉間に皴寄っとるで」

 むにむに、て眉間を摩られて目の前にドアップになった謙也さんの顔。


「別になんもあらへんっすわ。ちゅうか離せ」

 謙也さんの手から逃げようともがいたら、両腕の手首握られて謙也さんの方を見るしか出来ひんくなった。ちゅうか謙也さんの手、ほんまにあっつい。謙也さんの体温を分けてもろてる気いがして俺の体温は1℃上がった。ほんまなんなんこの人。心配そうに眉八の字にして、ぎゅう、て音がするくらい手首握られて。ほんまに、


(好き過ぎておかしなってまう)



「光が辛いん嫌やねん。なんやあるんやったら溜め込まんと言いや」

 急に引き寄せられて腕ん中にすっぽりと入れられた。謙也さんの香りしかしいひん。これ以上、好きにさせんといて。俺、どんどん欲張りになってまう。








(俺だけので居って)
(そう言うたらあんたは笑うてくれますか)

‐End‐