- ナノ -
ある日の一日 ※3年以上前の文章につき諸々注意! もどる



「白石は俺のお嫁さんたい」

 あのー、千歳君。君は公衆の面前でいきなり何を言い出すんかな。ほら見てみい、健二郎は頭かかえとるわ。謙也はなんや嫌な目線の逸らし方、財前なんごっつ酷い顔やで。そらそうやろ、今部活のミーティング中やもん。は、他のメンバーが居らへんて。しゃーないやんかまだこれしか揃ってへんのやから。あー、あかん忘れとった千歳や千歳。


「千歳、自分いきなり何言い出すんや」

 せや、もっと言うてやりい謙也。

「先輩ほんまキモイっすわ」

 おーい、財前くーん。一応それ俺の恋人やから。そないな変なもん見たような顔せんといてーな。


「ばってん、言いたくなったたい仕方無か」

 相変わらずにこにこと笑いながら言うとる千歳。ん、こいつはこういう奴やんな。


「…千歳、今はミーティング中やろ」

 しゃーない、俺が言うしかあらへんやんか。ちゅうか言うてくれるんは嬉しいねん、せやけど場所弁えろや場所。


「そんな怒らんといて欲しいばい。全部ほんとの事っちゃ」

 めっちゃ真剣な顔で言われたら何も言えへんやろ。ちゅうかあかん、なんや顔熱なってきた。


「照れとる白石はほんなこつむぞらしかー」

 ぎゅう、て抱き着かれる体。あー…、健二郎の奴部室出て行ってもうた。


「…光」

「…っ、ドアホ盛んなやっ」

 ほら、謙也達もいちゃつき出したやないか。ちゅうか、なあ。


「千歳、抱き着くんは後でたっぷりとさせたるさかい今はミーティングさせてえな」

 言うた直後に千歳は更ににっこりと笑うた。あかん、俺ともあろう奴が見事にハメられたわ。


「白石からお許しが出たっちゃ」

 そう言うて千歳は部室の外に出ていってもうた。どうせ金ちゃんやらに言いに行くんやろ。金ちゃん、意味分からんやろうに。


「千歳の奴行ってもうたなー」

 謙也が財前の後ろからおぶさる様にして言うてきた。後でド突かれるな確実に。あーあ、財前顔真っ赤やし…て、さっきの俺もあないな感じやったんやろか。


「よっしゃ、しゃーないわ。今から皆でランニング行くで」

 なんちゅうか、このままグダグダしとるんもあかんから。とりあえずこう言うたら財前にめっちゃ文句言われた。あ、千歳と金ちゃん捜さな。



「せやけど、」

「ん、なんや言うたか」

 出て行こうとしつつ聞いてきた謙也の後を追いながら俺が思うた事。







ある日の一日
(せやけど、やっぱ大好きやねんこいつらの事)

‐End‐