七夕 ※3年以上前の文章につき諸々注意! もどる |
「七夕祭りやるでーっ」 金太郎の一言で始まった七夕祭りという名のただの流しそうめん大会。大会っちゅう言い方も謎やけど先輩らがアホみたいにはしゃいどるから些か間違うてはおらん筈。皆それぞれに食いながら、好きな話をしとる。ちなみに、俺の横には謙也さん。当たり前のように隣に居るあんたの姿が嬉しかったんは秘密や。 「…なんや光、全然食うてへんやん」 俺の器を覗き込んで言う謙也さん。 「うっさいっすわ、別に食うとりますんで余計な心配せんとって下さい」 いつもの様に可愛いげのない言葉を吐く俺にも謙也さんは相変わらず笑顔で。たった一歳差、その余裕が羨ましかった。 「はーい、そこのバカップルさんらもいちゃついとらんで願い事書きいや」 そないなふうに言う部長をかるく睨んでから差し出された短冊を受け取る。 「ん、よっしゃ俺は書けたで」 何もかもがスピードスターな謙也さんはさっさと自分が書いた短冊を笹に結び付ける。ちゅうかガキやあらへんのやから短冊に願い事てなんやねん。 「光ー、はよ書きい」 書かずに残っとるんは俺一人らしく、他の人らはまたそれぞれ好き勝手にやり始めとった。 「謙也さんうっさいっすわ…ちゅうか、こないなことガキみたいやん」 呟いた言葉に謙也さんは、 「たまには良えやんか、協調性持ちいやっちゅう話。ちょお、貸してみい」 そう言うて俺の短冊を奪う。 「別に俺の勝手っすわ」 「まあまあ、優しい謙也さんが光の分も書いたるから。ちょお待っときいて」 ペンを走らせとる謙也さんの表情はごっつ穏やかで。そないな表情でいつも見つめられとるんやて思うたらなんや顔が熱くなった。 「よっしゃ、書けたで」 謙也さんは書き上がったばかりの短冊を持って俺の手を取り、笹へと向かう。 「叶うと良えな…ま、叶えたるけど」 そう言うて結び付けた短冊を見つめた謙也さんの表情はやっぱり穏やかやった。 短冊に書かれた言葉に俺の頬が熱くなるんはあと数秒後。 七夕 (“ずっと二人で過ごせますように”) ‐End‐ |