あこがれ ※3年以上前の文章につき諸々注意! もどる |
最近よお思うことがある。 「光ー、空見てみいや。月、めっちゃ綺麗やで」 謙也さんは感情表現が激しい。ちゅうか豊か。いや、素直。どないな言葉が当て嵌まるんかは分からへんけど、そういうことやねん。 こないな俺と付き合うとるんやし、言いたい事を直ぐに言いたなるんは自分なりによお分かる。まあ、謙也さんの性格っちゅうんもあるんやとも思うけど。せやけどやっぱり謙也さんの感情表現に俺は多少なりとも憧れの気持ちがあるんやと。 「なん、どうかしたん」 俺と向かい合うて、俺と視線合わせて、俺の言葉を待ってくれはる謙也さん。 「別に、なんもあらへんっすわ」 俺の口は可愛いげのない言葉ばかりを紡ぐんに、 「そか。せやけどなんやあるんやったら溜め込むんやないで。俺に言うんが嫌やったら白石もユウジも居るんやしな」 あんたがそないな風に優しい言葉ばかりをかけてくれはるから。俺はいつまでもこのままで良えんやないかなて思うてまう。 にっこり、て謙也さんそのものっちゅう笑顔でそう言われて。頭を撫でられる。 光、と謙也さんの口が俺の名前を呼んだと思うたら肩をぐ、て掴まれて。 「ちゅー、して良えか」 真っ赤な顔して言わへんで良え事まで口に出すから。俺はどないしても頬に熱が上がるんを抑えきれへんで。 「…良えですよ」 そう一言だけ返して、謙也さんの服の裾を掴むしか出来ひんかった。 あこがれ (俺がもう少し、素直に言葉を言えたら) (あんたはもっと笑うてくれますか) ‐End‐ |