- ナノ -



観的に、


榊×東金前提

 ふわり、桜の花びらが舞った先に目を向ければ男二人が肩を寄せてうたた寝をしとる場面に出くわす。一人は親友の東金千秋、そんでもう一人は星奏の榊大地。二人が、付き合うとるて聞いたんは去年の夏が過ぎた辺り。そら初めて千秋にその話を聞いた時は驚きもした、せやけど好きっちゅう気持ちに対して性別は二の次なんかなて思うたんもまた確か。今はただ二人の先が少しでも笑うて過ごせるようなモンになれば良え、てそう思うとる。


「ん、」

 僅かに身じろぎをして目を覚ました榊君へ人差し指を口に当てる仕種をすれば納得したかのように頷くんが見える。ふと、思い付いたように手招きをされるんが分かって近付けば。囁かれた言葉に倣って傍にあった榊君のジャケットを千秋の肩へとかけると安堵の笑みを浮かべる榊君が居った。眉尻下げて、そら愛おしそうに千秋を見詰める榊君は好きな奴を守る男の表情をしとった。


「ん…ほー、せい」

 拙い喋りで俺の名前を呼ぶ千秋。目を覚ましたんやんなあなんて頭の片隅で考えつつも返事をすればふんわりと笑うたんが見えた。未だに覚醒しきらない瞳でかけられたジャケットの主を見上げれば嬉しそうに微笑んで再度目をつむる。


「榊君、千秋運んだって。部屋開けとくさかい」

 相方の無防備な姿を眺めつつ榊君へと声をかければ納得したと示すように頷いて千秋を抱えた。さすがに姫さん抱っこはあかんかったみたいで、千秋を背に背負う榊君を見とったらなんや無償に今のこの状況を楽しんどる自分が居った。







客観的に、
(千秋がそこまで懐くんのは俺以外居らへんかったんになあ)

‐End‐
20100408.
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