- ナノ -





土岐×響也前提

「蓬生、」

 声のした方へと視線を向ければそこには呆れた顔の東金が居た。対する俺…の顔は多分赤い。理由はそりゃあさっきから散々触り放題触ってきた目の前に居る土岐のせい。今までのやり取りを見られてたのかって思えば顔は熱くなるばっか。


「ん、どないしたん千秋」

 俺の心情なんかこれっぽっちも我関せずでへらりと笑う土岐、と小さく息を吐く東金。


「…お前ら、いちゃつくのは構わねえが場所を弁えろ」

 眉間に指を当ててそう言った東金にやっぱり土岐は笑ってやり過ごすだけ。つか俺今空気じゃね。


「なん、千秋妬いとるん」

「アホ、他の人間に悪影響だから忠告してやってんだろうが」

「ふ、手厳しいお言葉やねえ」

「…全く動じてないくせによく言うぜ」


 あーあ、やっぱ俺完璧に空気だ空気。いやなんつうかさ、こいつらが幼馴染みっつうのも知ってる。でもやっぱなんかモヤモヤすんのは妬いてるっつうことなのか。それなら俺、なんかすげえだせえ。



「…あんたは俺のだろ」

 悶々と考え込んだ後に気付けば土岐へと手を伸ばしてた。ぎゅう、とベストの裾を握りしめてついでに左手も爪が食い込むくらいに握りしめて。


「嫉妬深い恋人が呼んでるぜ」

 くすりと笑って後ろ手に手を振る東金の姿を追った直後に引かれる腕。次に目を開けたら目の前にはにっこりと笑う土岐が居て。







作戦
(千秋に感謝せな、可愛え如月弟君の姿が見れたしなあ)
(…ばかやろ)
(ふ、照れ隠しなんしても逆効果やで)
(…っ、)

‐End‐
20100823.
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