- ナノ -



味本意


響也×東金前提

「随分お戯れが盛んなよう、で」


 響也をその場へと残しキッチンへと向かう道すがらに東金からそう言われれば、なんややっぱ聞いとったん、などとさして気にした様子も無く薄く笑う土岐。


「全く、お前が如月に近付くから何を言い出すのかと思えば」

「んー、まあ最初はちょおからかったろうて思うてただけなんやけど。あまりにも初な反応見せはるからつい、な」

 くすりと笑い近くにある椅子を引き寄せ座ればそれに倣い東金も壁へと寄り掛かる。先程の土岐と響也の会話を聞いていたというのにそれに対しての土岐の反応は至極薄い。つまりは目の前の男は自分が居ると知りつつ響也にあのような質問をしたのだと。策士と言う言葉にぴったりな幼なじみに僅かに息を吐きつつもそれは今に始まったことでは無いので東金自身さして口を挟むつもりも無かったのだが。


「で、自分ら随分健全なお付き合いしとるんやなあ」

「は、あいつから仕掛けたんだ俺はお膳立てする以外は手を出すつもりはねえよ…今は、な」

「ふーん、如月弟君が千秋にちゅーした言うとったけどやっぱそん時起きてたんやなあ」

 幼なじみの堂々たる言葉にひとしきり喉を鳴らし笑った後にそう言えば、当の東金からも当たり前だ、との答え。


「ふ、まあたまには良えんちゃう。俺からしてみれば千秋が受け身なんも興味をそそられるしなあ」

「は、言ってろ」

 野次馬根性丸出しのその台詞にもさして驚きもせずに煽る面なども流石東金と言うべきか。昔から変わらないそのような性格に口の端が釣り上がるのを感じつつ席を立つ。その様子に東金自身も壁から身を離し土岐と向き直る。


「まあ仲良うしいや」

「ふ、言われなくともそうするつもりだ」







興味本意
(それよりお前はどうなんだ)
(…まあそれは追い追いまた話すて)
(は、とんだ秘密主義者だな)
(…ふ、褒め言葉やね)

‐End‐
20100811.
戻る