alluring.
頬を赤く染めた如月の腕を引き、如月の自室へと向かう。ベットを顎で指し、座ったのを気配で感じれば後ろ手で扉の鍵をかけた。近付いて、頬へと手を伸ばせばびくりと肩を震わせる。俯きながら、耳まで赤くした如月の前髪を除けてやればようやく顔を上げた。
「どうした、俺に会えたことがそんなに嬉しいのか」
茶化すように言えば、何か言いたげに下唇を噛む如月。膝の上にある拳は僅かに震えていて、目元にはうっすらと涙すら浮かべている。そんな姿が俺を煽るとは知らず、惜し気もなく晒される身体をベットへと沈めれば不安そうな瞳でこちらを伺うのが見えた。
「なんで…あんたが居んだよ」
僅かな間を置いて漸く呟かれた言葉に俺は唇の端が上がるのが分かった。
「お前に会いに来た、それだけじゃあ理由にはならねえのか」
ぱくぱくと、口を開閉させて更に赤くなる如月の顎を持ち上げキスを落とす。舌で閉じられた唇をつつけば僅かに開いた隙間を縫って如月のそれを逃がすまいと捕らえる。官能的で、艶やかな、それでいてどこか幼さを残しながら鼻にかかったような媚声を漏らす如月。
「ふ、…んうっ…」
先程お預けを喰らった胸へと手を伸ばし、着ていたTシャツをたくし上げれば肌が露わになる。肌の色とは対照的に淡い色をした胸の先端を摘めば僅かに腰を震わせたのを視界の端で捕らえた。無意識でしているだろうその動作一つにも自分を抑えるのに苦労する。
「ひ、あ…っん」
唇を離せば引っ切り無しに漏れる声。こいつをこんな身体にしたのは外ならぬ俺自身。その事実にすら興奮を訴える自身にちらりと視線を投げ目の前の如月へと再度意識を戻した。
「や、そ…こっ ば、か…」
「ほう、ならどうして欲しいかお前の口で言ってみやがれ。そうすれば、触ってやらねえこともないぜ」
俺の言葉にこれ以上赤くなりようもない程に顔を染める如月。あと、もう少し。
「どこを触って欲しいんだ、響也」
耳元で囁けば、切羽詰まる響きで答えを告げられるのはすぐそこ。
alluring.(お前に溺れている、)
(だからこそ離してなんかやらない)
‐End‐
20100418.